改訂新版 世界大百科事典 「労演」の意味・わかりやすい解説
労演 (ろうえん)
勤労者演劇協(議)会などの略称。勤労者が自主的に組織した演劇鑑賞団体。1948年7月勤労者のための演劇普及を目的に東京労演が結成された(51団体,現東京労演は1956年1月に再結成された)。その後,49年2月の大阪労演をはじめ,50年代から60年代にかけて日本各地に結成され,新劇公演を支える鑑賞団体として大きな動員力をもっている。労演は会員の要望を生かしつつ,劇団との緊密な連絡と相互協力のもとに発展してきた。演劇公演の企画一切(出演料,交通費,会場費など)を会員からの会費でまかなっているため,組織の強弱によって企画に影響を与えるだけでなく,劇団が大都市(東京,大阪など)に集中していることから,遠隔地の労演ほど運営に困難さがともなう。そのために各地ブロック間での相互協力もなされている。
→観客団体
執筆者:上野 博正
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