匂わす(読み)ニオワス

デジタル大辞泉 「匂わす」の意味・読み・例文・類語

におわ・す〔にほはす〕【匂わす】

[動サ五(四)]
匂うようにする。香りを立てる。「香水をほのかに―・す」
つややかに美しく染める。
「秋の野を―・す萩は咲けれども見るしるしなし旅にしあれば」〈・三六七七〉
[類語]匂う匂やか匂いやか薫るくんずる鼻につくかぐわしいかんばしい馥郁ふくいく芬芬ふんぷん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「匂わす」の意味・読み・例文・類語

におわ・すにほはす【匂】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. つややかに美しく染める。色美しくする。彩色する。
    1. [初出の実例]「引馬野(ひくまの)ににほふ榛原(はりはら)入り乱れ衣爾保波勢(ニホハセ)旅のしるしに」(出典万葉集(8C後)一・五七)
    2. 「てつからこのあかはなをかきつけにほはしてみ給ふに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
  3. かおらせる。においや臭(くさ)みがあるようにする。悪いにおいについては「臭わす」とも書く。
    1. [初出の実例]「なに人かきてぬぎかけしふぢばかまくる秋ごとにのべをにほはす〈藤原敏行〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二三九)
  4. 染色、襲(かさね)の色目、鎧のおどしなどで、濃い色からしだいに薄くぼかしていく。
    1. [初出の実例]「女房色々を三つづつにほはして十五に、紅のうちたるもえぎの織物の表著(うわぎ)也」(出典:栄花物語(1028‐92頃)根合)
  5. それとなく暗示する。ほのめかす。におわせる。
    1. [初出の実例]「今なむとだににほはし給はざりけるつらさを、浅からず聞え給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)

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