オブザーバー(読み)おぶざーばー(英語表記)The Observer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オブザーバー」の意味・わかりやすい解説

オブザーバー
おぶざーばー
The Observer

現存するイギリス最古の日曜紙。1791年創刊。当初はほかの日曜紙と同様、大衆的な話題を掲載した新聞で、ニュースの挿絵などが評判をよんだ。19世紀になって、徐々にまじめな読者の多様な関心にこたえるような豊富な情報と優れた文章を特徴とする新聞に変わっていった。同紙の声価を決定づけたのは、1908年から1942年まで編集の責任者であったガービンJames Louis Garvin(1868―1947)である。1905年、ノースクリフ卿(きょう)が経営難に陥っていた『オブザーバー』を買収、1908年にガービンを編集長に指名するが、両者の間に対立が生じ、結局1911年に初代アスター卿William Waldorf Astor, 1st Viscount(1848―1919)が同紙を買い取る。引き続き編集長の地位にとどまったガービンは、さまざまな分野で特別なライターのチームをつくり、また自らコラムに健筆をふるい、数年で部数は数千部から20万部にまで伸びた。『オブザーバー』は、1911年から60年以上にわたってアスター家が所有していたが、その間、政治的には保守からリベラル色の濃い立場へ変わってきた。経営的には、トラスト(信託組織)に拠(よ)っていた時期があった。しかし、徐々に経営難に陥り、1976年にアメリカアトランティック・リッチフィールド社(ARCO)に売却され、ARCOは1981年にこれをイギリスのロンロー社に売却した。その後1993年にガーディアン・メディア・グループ(GMG)が買収し、傘下に組み入れた。部数は、1960年代末に90万部を超えたが、1990年代なかばから50万部を切り始め、2000年41万部、2011年31万部といった水準である。

[橋本 直]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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