北海道の研究(読み)ほつかいどうのけんきゆう

日本歴史地名大系 「北海道の研究」の解説

北海道の研究
ほつかいどうのけんきゆう

八冊 高倉新一郎監修 清文堂 昭和五七―六三年刊

解説 第二次世界大戦後の地域研究の成果を、歴史学を中心に考古民俗・社会等諸学の成果とともに、一般読者を対象としつつ学際的に展望しようとした全国シリーズの一つ。

構成 (一)考古篇一(野村崇編、一二論文)旧石器時代から縄文時代・続縄文時代にわたる長い時代の北海道考古学上の諸問題に関する代表的論考収録。(ニ)考古篇二(石附喜三男編、一四論文)北海道独自の時代区分である擦文時代・オホーツク文化の時代、および中世近世の考古学的課題を追究した論文、さらにそれと関係する史学的論文二つを加えた。(三)近世篇一(海保嶺夫編、九論文)室町時代中期から一八世紀前半頃までにおける和人地の独立から松前藩確立・強化の時代状況を対象とした。(四)近世篇二(海保嶺夫編、九論文)一八世紀後半から明治維新までの、外国勢力への幕藩体制の対応や、旧体制否定への時代の動き等を対象とした。近世篇一・二を通して戦後の近世史研究の成果を積極的に取込み、両時代の基底にある対アイヌ民族問題を視野に入れている。(五)近・現代篇一(関秀志編、一一論文)明治期を中心とした政治・社会・文化・民族の諸問題について、専門論文ながら概括的にまとめられている点に特色がある。(六)近・現代篇二(桑原真人編、一二論文)明治初期から第二次世界大戦後にいたる間の産業史と労働・農民運動および女性史・アイヌ史の問題を幅広くとりあげた。近・現代篇一・二とも体裁は論文集に近い。(七)民俗・民族篇(矢島睿編、一一論文)他府県に比べて特異性をもちながら、従来研究蓄積が少ないといわれた民俗学関係論考を中心にして、アイヌ民族研究の若干を加えたもの。(八)文献目録・索引(関秀志編)文献目録は総記部分以下、地域史、時代史、産業・文化・民俗・地理など二一部門にわたる単行本約五千冊(種)および研究誌・雑誌など約二〇〇種を収録。索引は本文七巻分について六九頁分を記載。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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