十字沸石(読み)じゅうじふっせき(その他表記)phillipsite

最新 地学事典 「十字沸石」の解説

じゅうじふっせき
十字沸石

phillipsite

鉱物のうち,沸石族鉱物,十字沸石系列の総称。一般化学式で表され,M1+,M2+は交換性陽イオンで,主にM1+はKとNaが,M2+はCaとBaが入る。種名は,交換性陽イオンが最も卓越する元素名をphillipsiteの後ろに,-元素名をつけて区別する。現在までのところ,phillipsite-Na(ソーダ十字沸石),phillipsite-K(カリ十字沸石),phillipsite-Ca(灰十字沸石;灰十字石とも)が知られている。なお,Baが卓越するものは,先取権の問題があって,harmotome(重土十字沸石)が種名となっている。一般化学式中のxは,ほぼ4〜6で変動する。以下は,十字沸石全般の諸性質を示す。単斜晶系,空間群P21/m。格子定数a0.987〜0.992nm, b1.41〜1.44, c0.866〜0.875, β〜124°,単位格子中2分子含む。双晶した擬正方柱状結晶,それらがさらに貫入双晶して十字形になることも。ガラス光沢劈開{010}明瞭。硬度4〜5。比重2.2。無,白,帯ピンク色,条痕白色。二軸性正・負,屈折率α1.483〜1.505, β1.484〜1.511, γ1.486〜1.514,2V = 60〜90°。火山岩の晶洞,変成岩や堆積岩割れ目などに産出。日本海側の玄武岩質,粗面岩質の火山岩中に多く見られる。ロンドン地質学協会の創始者で鉱物学者のWilliam Phillipsに由来和名は双晶した十字形の形態から。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

関連語 参照 青木

日本大百科全書(ニッポニカ) 「十字沸石」の意味・わかりやすい解説

十字沸石
じゅうじふっせき
phillipsite

沸石の一種で、両錐(りょうすい)の斜方柱状結晶をなすことが多く、しばしば十字形の双晶がみられるのでこの名がある。各種火山岩の空隙(くうげき)中、堆積(たいせき)岩の割れ目などに産する。交換性陽イオンのうち、もっとも卓越する元素名をあとにつけて、phillipsite-Ca(灰(かい)十字沸石)、phillipsite-Na(ソーダ十字沸石)、phillipsite-K(カリ十字沸石)のように種名を表わす。ただし、バリウム(Ba)の場合は十字沸石より先に命名されていたのでphillipsite-Baとせず、ハーモトームharmotome(重土十字沸石)という名称を使う。また灰十字沸石は海底堆積物、塩湖堆積物、温泉沈殿物中などにも産する。

松原 聰]


十字沸石(データノート)
じゅうじふっせきでーたのーと

十字沸石
 英名    phillipsite
 化学式   (Ca0.5,K,Na)4-7Al4-7Si12-9O32・12H2O
 少量成分  Ba
 結晶系   単斜
 硬度    4~4.5
 比重    2.2~2.5*
 色     無,白,黄,褐
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    二方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   *バリウムに富むものほど
       比重は大きい

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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