十字沸石(読み)じゅうじふっせき(その他表記)phillipsite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「十字沸石」の意味・わかりやすい解説

十字沸石
じゅうじふっせき
phillipsite

沸石の一種で、両錐(りょうすい)の斜方柱状結晶をなすことが多く、しばしば十字形の双晶がみられるのでこの名がある。各種火山岩の空隙(くうげき)中、堆積(たいせき)岩の割れ目などに産する。交換性陽イオンのうち、もっとも卓越する元素名をあとにつけて、phillipsite-Ca(灰(かい)十字沸石)、phillipsite-Na(ソーダ十字沸石)、phillipsite-K(カリ十字沸石)のように種名を表わす。ただし、バリウム(Ba)の場合は十字沸石より先に命名されていたのでphillipsite-Baとせず、ハーモトームharmotome(重土十字沸石)という名称を使う。また灰十字沸石海底堆積物、塩湖堆積物、温泉沈殿物中などにも産する。

松原 聰]


十字沸石(データノート)
じゅうじふっせきでーたのーと

十字沸石
 英名    phillipsite
 化学式   (Ca0.5,K,Na)4-7Al4-7Si12-9O32・12H2O
 少量成分  Ba
 結晶系   単斜
 硬度    4~4.5
 比重    2.2~2.5*
 色     無,白,黄,褐
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    二方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照
 その他   *バリウムに富むものほど
       比重は大きい

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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