日本大百科全書(ニッポニカ) 「十字沸石」の意味・わかりやすい解説
十字沸石
じゅうじふっせき
phillipsite
沸石の一種で、両錐(りょうすい)の斜方柱状結晶をなすことが多く、しばしば十字形の双晶がみられるのでこの名がある。各種火山岩の空隙(くうげき)中、堆積(たいせき)岩の割れ目などに産する。交換性陽イオンのうち、もっとも卓越する元素名をあとにつけて、phillipsite-Ca(灰(かい)十字沸石)、phillipsite-Na(ソーダ十字沸石)、phillipsite-K(カリ十字沸石)のように種名を表わす。ただし、バリウム(Ba)の場合は十字沸石より先に命名されていたのでphillipsite-Baとせず、ハーモトームharmotome(重土十字沸石)という名称を使う。また灰十字沸石は海底堆積物、塩湖堆積物、温泉沈殿物中などにも産する。
[松原 聰]