十界図(読み)じっかいず

百科事典マイペディア 「十界図」の意味・わかりやすい解説

十界図【じっかいず】

浄土教美術の一つで,仏教における生類すべての境地,迷いと悟りの世界である十界を描いたもの。六道と,声聞(しょうもん)・縁覚(えんがく)・菩薩・仏の四聖界を表す。現存作品は京都の禅林寺蔵2幅など。滋賀県聖衆来迎寺には十界図30幅のうち六道絵15幅が残る。
→関連項目地獄変

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十界図」の意味・わかりやすい解説

十界図
じっかいず

十法界図ともいう。仏教世界観に基づいた地獄餓鬼畜生阿修羅,人間,天の六道と声聞,縁覚,菩薩,仏の四聖を合せて十界とし,各界の相を描いて因果応報の理を図示した説話図。五趣生死輪図としてインドチベットで行われたが,中国,日本では六道に重きをおいた六道絵として盛行。日本で十界図と称される作例の滋賀,聖衆来迎寺蔵 15幅は,むしろ源信の『往生要集』によった六道絵の一種と解されている。

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世界大百科事典(旧版)内の十界図の言及

【六道】より

…六道の苦を脱するのが仏教の解脱(げだつ)で,その上に声聞,縁覚,菩薩,仏の四聖を加えて十界とする説も広くおこなわれた。したがって六道絵は十界図の一部であることが多い。 六道絵と十界図は仏教の因果を説く唱導にもちいられたが,六道も十界も一心より出たものだという唯心説を説く唱導もり,一心十界図が描かれた。…

※「十界図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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