声聞(読み)しょうもん(英語表記)śrāvaka

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

声聞
しょうもん
śrāvaka

仏教用語。声を聞く者のことで,元来釈尊の直接の弟子をさす。また,みずから悟りを求めるとともに他を救済することを目的とする大乗仏教の求道者 (→菩薩 ) に対し,釈尊の教えを忠実に実行はするが,自己の悟りのみを追求する出家修行者,すなわち部派仏教の修行をする者をいう。

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百科事典マイペディアの解説

声聞【しょうもん】

サンスクリットのシュラーバカの訳。仏の声を聞く者の意で,もと仏弟子をさしたが,大乗では,四諦(したい)の理を観じて,羅漢(らかん)の悟りを求めるものをいい,自己の悟りのみを求める出家をさす。
→関連項目三乗

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大辞林 第三版の解説

しょうもん【声聞】

śrāvaka 仏の説法を聞く者の意〕
〘仏〙 元来は、仏在世の弟子のこと。仏の四諦したいの教えに従って修行し、聖者となる仏弟子。のちに大乗仏教の立場からは、個人的な解脱げだつを目的とする者とみなされ、小乗の徒とされる。

せいぶん【声聞】

世間の評判。名声。 → しょうもん

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

声聞
しょうもん

仏教の用語。サンスクリット語のシュラーバカrvaka(声を聞く者)の訳語。教えを聞く弟子の意。ジャイナ教でも同じ意味で用いる。仏教では元来、ブッダの教えを聞いて修行する出家・在家の仏弟子を意味したが、後代になると教団を構成する出家修行者のみをさすようになった。大乗仏教では、声聞乗(声聞のための教え)を縁覚(えんがく)(独覚(どっかく))乗と並べて二乗と称し、さらに菩薩(ぼさつ)乗を並べて三乗というが、このうち二乗を小乗として貶称(へんしょう)し、声聞は仏の教えを聞いて修行しても自己の悟りだけしか考えない人々であると批判した。声聞・縁覚のために説かれた四諦(したい)・十二因縁(いんねん)などを説く経典を声聞蔵(ぞう)といい、声聞の四つの修行階位(預流(よる)、一来(いちらい)、不還(ふげん)、阿羅漢(あらかん))を声聞四果(しか)という。[藤田宏達]

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精選版 日本国語大辞典の解説

しょう‐もん シャウ‥【声聞】

〘名〙
① (śrāvaka の訳語。声を聞くものの意で、弟子とも訳する) 仏語。縁覚・菩薩と共に三乗の一つ。釈迦の説法する声を聞いて悟る弟子。縁覚・菩薩に対しては、仏の教説によって四諦(しだい)の理(苦・集・滅・道)を悟り、阿羅漢になることを究極の目的とする仏弟子。その目的とするものが、個人的解脱にすぎないので、大乗仏教の立場からは小乗の徒だとされる。
※三代格‐二・承和一〇年(843)一一月一六日「漸謂声聞。小乗登壇学処。頓謂菩薩。大士灌頂法門」
※太平記(14C後)三七「声聞(シャウモン)仏果を証ぜん為に、六波羅蜜を行(ぎゃう)しけるに」 〔勝鬘経‐摂受章〕
② 転じて、利己主義者。自利のみを望む者。→声聞根性(しょうもんこんじょう)。〔現代語大辞典(1932)〕

せい‐ぶん【声聞】

〘名〙
世間のきこえ。評判。名望。
※本朝文粋(1060頃)五・為富小路右大臣辞職第一表〈菅原文時〉「声聞本自寂莫。年鬢早以蹉跎。無力之可以致一レ効」 〔孟子‐離婁・下〕

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世界大百科事典内の声聞の言及

【三乗】より

…乗は〈乗物〉であって,人間が悟りの境界へ至るための乗物すなわち教えを意味している。大乗仏教では全仏教を声聞乗(しようもんじよう),縁覚乗(えんがくじよう),菩薩乗(ぼさつじよう)の3種に分け,それぞれ能力の異なった3種類の対象のために異なった教えがあるとしている。声聞は最も能力の劣ったもので,仏の声に導かれてみずからの悟りのみを求めるものであり,次位の縁覚はひとりで悟りを開いたもの,最上位の菩薩はみずからのためのみならずいっさいの人間の悟りのために修行しているものを意味し,声聞,縁覚は自利,菩薩は自利利他とする。…

【十界】より

…仏教の世界観の一つ。精神的な生き方を,迷いより悟りへの10層に分け,最下の地獄より餓鬼,畜生,修羅,人間,天上,声聞,縁覚,菩薩,仏へと上昇するもの。はじめの六つが凡夫,後の四つが聖者の世界で,凡夫はそれらの六つを輪廻転生するから,六道,または六趣とよぶ。…

※「声聞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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