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浄土教美術 じょうどきょうびじゅつ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

浄土教美術
じょうどきょうびじゅつ

仏教的理想世界としての浄土の教説に基づいて展開した,各種の浄土信仰に伴う造形美術一般をいう。大乗仏教阿弥陀仏極楽浄土,薬師仏の浄瑠璃世界,弥勒 (みろく) 仏の兜率 (とそつ) 天浄土などのような多くの仏国土,すなわち浄土を説いたが,なかでも深く人の心をとらえたのは,阿弥陀仏とその西方極楽浄土であり,特に中国,日本で教義的に整備発展して広く普及し,浄土教美術といえば大部分は阿弥陀仏関係のものをさす。

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百科事典マイペディアの解説

浄土教美術【じょうどきょうびじゅつ】

浄土信仰に基づく仏教美術。日本では平安〜鎌倉時代密教美術に匹敵する大きな位置を占めた。貴族たちは財力を投入して阿弥陀堂を各地に建立,本尊として慈愛に満ちた阿弥陀如来像を安置して極楽往生を祈願した。
→関連項目国風文化十界図浄土変当麻曼荼羅山越阿弥陀図

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世界大百科事典 第2版の解説

じょうどきょうびじゅつ【浄土教美術】

浄土思想(浄土教)にもとづいて制作される仏教美術。大乗仏教では釈迦如来のほかにも多くの如来が現れるが,それらの如来はみずからの理想の国土〈浄土〉を建設することを自己の目標とした。このような思想を説く経典を浄土経典と呼び,すでに1世紀ごろには阿閦(あしゆく)如来とその仏国土〈妙喜浄土〉が説かれるが,やや遅れて阿弥陀如来とその仏国土〈極楽浄土〉を説く経典が現れた。このほかにも種々の浄土が存在するが,その中では弥勒菩薩の居所〈兜率天(とそつてん)〉や観音菩薩の居所〈補陀落山(ふだらくせん)〉などが著名であり,これらにまつわる美術も少なくない

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

浄土教美術
じょうどきょうびじゅつ

浄土教(浄土思想)に基づいて造形された美術。狭義には阿弥陀(あみだ)浄土の関連作品に限られるが、広義では阿弥陀以外の諸仏・菩薩(ぼさつ)の浄土を表現したものも含まれ、数ある仏教美術のなかでももっとも多彩な分野である。
 大乗仏教では、さまざまな如来(にょらい)仏がそれぞれの仏国土、すなわち浄土をもつと説かれ、その浄土への往生を願う信仰が展開した結果、此岸(しがん)から彼岸(ひがん)へ渡るという、もっとも大乗的な教義が成立した。釈迦(しゃか)の座(いま)す霊山(りょうぜん)浄土、薬師(やくし)の瑠璃光(るりこう)浄土、弥勒(みろく)の兜率天(とそつてん)浄土などがあるが、とりわけ阿弥陀の西方極楽浄土が説かれると、欣求(ごんぐ)浄土の信仰を発達させ、阿弥陀中心の造形作品が現れ、その浄土を表現する浄土変が制作されて中国・日本において多様な浄土教美術が盛行した。
 中国では六朝(りくちょう)時代から浄土信仰が台頭し、阿弥陀浄土を説く『無量寿経(むりょうじゅきょう)』(大経)、『阿弥陀経』(小経)、『観無量寿経』(観経)の浄土三部経が重要視されていたが、唐代に至り、善導(ぜんどう)(613―681)によって『観無量寿経疏(しょ)』が著され、阿弥陀信仰が大成した。その教化活動には善導自身、300幅に及ぶ阿弥陀浄土変をつくったと伝え、浄土変の流行が知られる。遺品をあげると、6世紀初めの竜門石窟(りゅうもんせっくつ)に無量寿仏(阿弥陀)の造立がみられ、その源流をたどることができるが、敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)の壁画には隋(ずい)から宋(そう)に至るおびただしい数の浄土変が現存する。初期のものは、阿弥陀と観音(かんのん)・勢至の二脇侍(きょうじ)を中心に諸菩薩を配した単純な群像表現だが、唐代の浄土変は、浄土の楼閣や宝池、曼荼羅華(まんだらげ)、天人の楽舞などが加わり、多彩で複雑な形式をもち、なかには善導の教説による観経変と判断できるものもあって、日本の浄土変の原型がみいだせる。『歴代名画記』などの記録によると、長安や洛陽(らくよう)にはとりわけ優秀な浄土変の多かったことも知られ、その一部がわが国に将来され、新たな展開が始まった。
 日本においては飛鳥(あすか)時代の小金銅仏に阿弥陀の初期造像例がみられるが、中宮寺の『天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)』は聖徳太子の菩提(ぼだい)供養のためという伝えがあり、わが国最古の浄土変と考えられる。奈良時代に入ると、唐代美術に強く影響された作品が出現する。法隆寺金堂壁画は、四方に釈迦、薬師、弥勒、観音などの仏菩薩を配することで金堂の内部を浄土のように荘厳(しょうごん)するが、とりわけ6号壁の阿弥陀浄土は秀麗である。将来された仏画をそのまま模したと思われる浄土変は文献で確認できるが、遺品としては『智光(ちこう)曼荼羅』『當麻(たいま)曼荼羅』『清海(せいかい)曼荼羅』の浄土三曼荼羅がある。曼荼羅の称は平安後期以後の命名で、いずれも阿弥陀三尊を中心に極楽浄土の情景を描写した浄土変である。當麻寺の『綴織(つづれおり)當麻曼荼羅図』は浄土変の左右と下縁に序分義の観経六縁、定善(しょうぜん)義の十三想観、散善義の九品(くほん)往生図を配すので、善導の観経疏による唐代作品の写しと知られ、代表的な浄土教美術として後世に至るまで多数の模本がつくられた。
 平安時代に入ると天台、真言の両宗がおこり、浄土教にも強い影響を与える。比叡山(ひえいざん)に方三間の常行三昧堂(じょうぎょうさんまいどう)が円仁(えんにん)によって建立されたが、これは阿弥陀をめぐって行道(ぎょうどう)する常行三昧を行う堂で、その四周の壁には九品往生図が描かれた。この堂が祖型になって、1053年(天喜1)の平等院鳳凰堂(ほうおうどう)や中尊寺金色堂など、ほぼ同形式の阿弥陀堂建築がこの世の浄土の楼閣のように建立された。他方、真言密教からは、膝上に両手の大頭指を結んだ定印(じょういん)の阿弥陀が出現し、天台系の浄土教にも相互に交渉があった。985年(寛和1)に天台僧源信(げんしん)が撰(せん)した『往生要集』は欣求浄土厭離穢土(おんりえど)によって、阿弥陀を観想する法と臨終における来迎を祈念する法を説き、末法第一年とされた1052年(永承7)を境に浄土信仰は急速に浸透した。その結果、平等院像のような観想のための定印阿弥陀と、高野山(こうやさん)の『阿弥陀聖衆来迎図(しょうじゅうらいごうず)』などの来迎印阿弥陀が流行し、善美を尽くした作品が多くつくられている。
 鎌倉時代になると、阿弥陀信仰の高揚から知恩院の『阿弥陀二十五菩薩来迎図』(早来迎(はやらいごう))や禅林寺の『山越(やまごし)阿弥陀』などのように、来迎の速度や臨場感、現実感を伴ったさまざまな形式がみられる。また、浄土への希求とは逆説的に『地獄草紙』『餓鬼草紙』などの六道絵(りくどうえ)も出現した。これらは奈良・平安の浄土教に加えて法然(ほうねん)、親鸞(しんらん)の新仏教が加わり、浄土思想自体が多様性をもったためで、浄土教美術も熟成され、日本的特徴を示すに至った。[川村知行]
『大串純夫著『来迎芸術論』(1983・法蔵館) ▽浜田隆著『極楽への憧憬』(1975・美術出版社)』

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世界大百科事典内の浄土教美術の言及

【仏画】より

…《当麻曼荼羅》下縁の九品来迎が平安時代の浄土教の発達に伴い独立した九品来迎図のほかに,《阿弥陀二十五菩薩来迎図》《阿弥陀三尊来迎図》《山越阿弥陀図》が描かれ,鎌倉時代になると,弥勒,十一面,地蔵などの来迎図も現れる。また《二河白道図(にかびやくどうず)》や地獄,餓鬼などの六道絵や十王図が盛行する(浄土教美術)。(3)顕教画 大乗仏教の発達につれて,大乗経典による変相以外に,多数の如来や菩薩が出現し,薬師,盧舎那仏などの如来,聖観音や千手,如意輪などの変化観音,文殊,普賢,弥勒などの諸菩薩や,梵天,帝釈,四天王などの天部画像も描かれる。…

【平安時代美術】より

…なお和歌山有志八幡講十八箇院の五大力菩薩中の3幅は9世紀風の尊像表現の残るこのころの大作として忘れることはできない。 10世紀はまた叡山に発する浄土教美術の発展期である。まず951年ころ空也が都に建てた西光寺の旧仏と伝える十一面観音立像等(六波羅蜜寺)をあげるべきであろう。…

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