日本大百科全書(ニッポニカ) 「南充」の意味・わかりやすい解説
南充
なんじゅう / ナンチョン
中国、四川(しせん)省中東部の地級市。揚子江(ようすこう)支流の嘉陵江(かりょうこう)西岸に位置する。3市轄区、5県を管轄し、1県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。人口は759万(2014)で、省内では成都(せいと)に次ぐ。市域は、隋(ずい)代以降の南充県の地で、1950年県城地区を分離して市を置いた。宋(そう)代からは順慶(じゅんけい)府の中心地で、順慶の別称がある。西の成都と東の万州(ばんしゅう)への自動車道や重慶(じゅうけい)への嘉陵江水運など交通・商業要地で、2004年には南充高坪(こうへい)空港が開港した。周辺の養蚕による蜀江錦(しょっこうきん)の原料である黄色生糸の生産でも知られる。また、機械、食品工業のほか、1958年発見の四川盆地中部油田による石油工業が立地する。『三国志』の撰者(せんじゃ)である陳寿(ちんじゅ)(233―297)や、朱徳(しゅとく)の生地としても知られる。
[小野菊雄・編集部 2017年8月21日]