東南極楯状地(たてじょうち)と西南極大陸との間にあって、ロス海西縁ビクトリア・ランドの北端アデア岬から、ウェッデル海側のコーツ・ランドにかけて、約3500キロメートルに及ぶ山群。最高点のカークパトリック山Mount Kirkpatrick(4528メートル)をはじめ、2000~4000メートル級の山が連なる。多くは古生代初期の褶曲(しゅうきょく)帯を基盤として、上に堆積(たいせき)岩があり、その後の断層運動で隆起した。山地はアデア岬から南極点付近まで連続的で、その先は不連続的である。山地の間を東南極氷床の氷が西南極側へ注いでいる。ビクトリア・ランドの山地には、氷河が後退し、ドライバレーとよばれる無氷雪の谷がある。この地域の研究には日本人も参加して成果をあげている。
[楠 宏]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…大陸内部にあって周辺から最も遠い地点は到達不能極Pole of Inaccessibility(南緯82゜06′,東経54゜58′)と呼ばれるが,ソ連隊(1958年12月14日到達)とアメリカ隊が付近を探査した。
[地形,地質]
南極大陸はほぼ南極圏内にあり,それを大きく二分する南極横断山地Transantarctic Mountainsによって,東半球に属する古い大陸塊の東南極大陸(大南極もいう)と,地質年代がこれより新しい西南極大陸(小南極)とに分けられる。また太平洋側からはロス海,大西洋側からはウェッデル海が深く湾入している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」