ロス海(読み)ろすかい(英語表記)Ross Sea

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロス海」の意味・わかりやすい解説

ロス海
ろすかい
Ross Sea

南極の南緯70~85度、東経165度~西経155度の間にある南極大陸へ入り込む海。南緯77度以南はロス棚氷(たなごおり)に覆われている。水深大部分が1000メートル以浅で、大陸棚が発達している。大陸棚の外縁付近に水深300メートルのペンネル堆(たい)Pennell Bankなどがある。ロス棚氷下の水深は500~800メートル。底質は氷河堆積(たいせき)物がほとんどで、水温は2℃~零下2℃、塩分濃度は33.5~34.7。沖合いでは水温が0℃以上になるが、大陸棚の上ではほぼ零下2℃で、塩分濃度の変化も少ない。棚氷の氷縁付近では1~3ノットの西向きの流れがあり、南緯70度付近では0.5ノットと弱まる。1841年イギリスのジェームズ・ロスが発見、命名した。ロス海西部は夏に海氷が少なく、昔から多くの探検船が進入した。白瀬隊の開南丸もロス棚氷の氷縁沿いに東航し、開南湾、大隈(おおくま)湾を発見した。ロス海での捕鯨は激減したが、大陸棚の石油やガス資源が注目されている。

[楠 宏]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロス海」の意味・わかりやすい解説

ロス海
ロスかい
Ross Sea

南極大陸沿岸のほぼ東経170°~西経155°の海域ビクトリアランドマリーバードランドに挟まれた入江部であるが,奥部は広大なロス棚氷に覆われている。水深は大部分が 1000m以下である。各種の氷河堆積物海底を覆っていて,そのほとんどが,以前陸上氷河中に包蔵されていたことを物語っている。海底堆積物の古地磁気学的データによると,氷河堆積物の最初の搬入は 500万年前にあったことがわかる。東から西へかなり強い沿岸流が流れ,夏季には海氷群が流され,大陸岸では最も接近が容易な部分である。沖合いは南氷洋捕鯨の中心域として重要であった。

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