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原文字期(読み)げんもじき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原文字期
げんもじき

メソポタミアの初期王朝成立前,考古学上の編年でいうウルク後期とジェムデット・ナスル期を合せていう。文字の発明,壮大な神殿の造営とそれを中心とした都市の発達,祭祀,行政を司る祭司階級の誕生など原生国家が成立したと考えられる時期。遺跡としてはウルク,エリドゥ,ウル,ハファジェ,ウカイル,キッシュ,ラガシュ,ニネベ,ガウラ,ヌジなどがある。神殿ではウルクの神殿が著名。主神アヌの神殿は高さ 13mの基壇上に建てられた壮大な建築である。またエ・アンナ神域の神殿のうちには直径 3m近い円柱,半円柱を配した柱廊を設け,柱の全面にモザイク装飾を施したものがある。モザイクはこの時期特有のもので,先端が黒,赤,白の粘土の円錐形の鋲でジグザグ,市松,菱形などの文様が描かれている。このほか彩壁画も使われた。文字はウルク後期に表意文字としての絵文字が発明されたが,次第に表音化して線状文字へと変化し,楔形文字の祖型となった。文字は粘土板に記され,神殿の財産管理に関係した実務的な目的のために発達したのが特色とされている。このほか車,舟による交通の発達,銅を中心とした金属器の普及,轆轤 (ろくろ) の使用による土器の大量生産など技術面での進歩も著しい。また工芸品では石製容器やスタンプ,円筒印章に装飾的,造形的にすぐれたものが多くつくられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典内の原文字期の言及

【ウルク文化】より

…シュメール王名表に5回登場し,その第1王朝5代目には英雄叙事詩で有名なギルガメシュが王としてみえる。ウルク期を前(XIV~IX),中(VIII~VI),後(V~IV)に細分し,中・後期をジャムダット・ナスル文化期と連続させて〈原文字期Proto‐literate Period〉と呼ぶこともある。 ウバイド期と区別されるのは,XIV層に赤色磨研土器および灰色磨研土器が新しく登場し,轆轤(ろくろ)製の無文土器が優勢になるからであり,XIV層の新要素とシュメール人の到来を関連させる考え方もある。…

【ジャムダット・ナスル文化】より

…なおウルクVIII~III層を原文字Proto‐literate期とよび,VIII~VI層をA期,V~IV層をB期,III層をC期とD期に細分する考え方がある。この場合には原文字期C・D期がジャムダット・ナスル期に相当するが,この基準はバビロニアの遺跡に拠っていないのであまり適切とはいえない。【小野山 節】。…

※「原文字期」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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