口蓋隆起と下顎隆起(読み)こうがいりゅうきとかがくりゅうき(英語表記)Palatine torus, Mandibular torus

六訂版 家庭医学大全科 「口蓋隆起と下顎隆起」の解説

口蓋隆起と下顎隆起
こうがいりゅうきとかがくりゅうき
Palatine torus, Mandibular torus
(口・あごの病気)

どんな病気か

 両者とも骨が局所的に隆起した状態で、外骨症(がいこつしょう)外発性骨増生(がいはつせいこつぞうせい)ともいわれています。

原因と症状の現れ方

①口蓋隆起

 硬口蓋(こうこうがい)の中央部に、境界がはっきりした限局性の骨の隆起がみられます。一般的に外形紡錘形(ぼうすいけい)ですが、結節状や扁平状の場合もあります。

 通常は歯科受診時に病変部を指摘されるまで、無症状に経過します。大きくなると発音障害が現れたり、食事がとりにくくなります。

 口蓋隆起食物の通過路に突出し、直上の粘膜が薄いので、硬い食べ物で簡単に傷がつきます。また、義歯(ぎし)作製時には義歯床下に緩衝腔(かんしょうくう)をつくりますが、義歯を設計するうえで邪魔になる場合は外科的切除が必要です。

 発生原因は不明ですが遺伝的な素因も考えられています。

②下顎隆起

 下顎骨の小臼歯部舌側にできる半球状の骨の隆起で、境界ははっきりしています。多くの場合は両側性で、大小数個みられます。隆起した骨表面は健常の粘膜でおおわれていますが、口蓋隆起と同様に表面の粘膜は薄く、歯ブラシや食べ物で容易に傷がつきます。

 加齢とともに少しずつ大きくなりますが、表面の粘膜が損傷しないかぎりは無症状です。口蓋隆起と同様に、歯科受診時に指摘されて初めて自覚することが多いようです。

 無症状であっても義歯作製時には問題となり、補綴前処置(ほてつぜんしょち)として外科的切除が行われます。歯周病の原因にもなります。高齢になってからの手術を考えるより、早めに手術を受けたほうがよいでしょう。

検査と診断

 視診触診でほとんど診断できますが、画像診断で確定します。

治療の方法

 両者とも症状がある場合や、義歯製作上、障害があれば外科的に切除します。

山根 源之

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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