六訂版 家庭医学大全科 「歯ブラシによる手入れ」の解説
歯ブラシによる手入れ
はブラシによるていれ
Brushing
(歯と歯肉の病気)
歯ブラシの選択
現在、市販されている歯ブラシは、図49に示すようにその目的に応じていろいろなものがあります。
歯ブラシは、材質によってナイロンなどの人工毛(図49のA、B、C、E)と
一般の人が使用するには、A(平切りカット)またはB(山切りカット)のもので、毛の硬さは「ふつう」がよいでしょう。Cは、AやBの歯ブラシでは
歯ブラシのパッケージには「材質」「硬さ」が表示されているので、購入される時の参考にしてください。幼児や学童には、口の大きさに合ったものがあるので、子どもに適したもの(図49のE)を選ぶことをすすめます。
図50のように毛先が広がったら、新しいものと交換するようにしましょう。歯ブラシは毎日使うものですから、長い間使っていると毛の腰が弱くなり、清掃効果が落ちてきます。たとえ広がらなくても、1カ月を目安に交換することをすすめます。
ブラッシングの方法
歯垢は、歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間につきやすいものです。これらの部位の歯垢を除去するには「毛先を使うみがき方」が適しています。
歯肉が炎症を起こしている時の治療や炎症を予防するにはマッサージも必要で、その時には「脇腹を使う方法」が適しています。
以下にその代表的なみがき方を簡単に説明します。
●毛先を使うみがき方(図51)
スクラッビング法
唇・頬側(歯の表の面)は、毛先を歯の面に直角に当てて小刻みに振動させます。
舌側(歯の裏の面)は、45度くらいの角度をつけて、やはり小刻みに振動させます。
「小刻み」ということが大切で、ごくわずかな動きにしてください。大きく横に動かすと歯ぐきを傷つけたり、歯がすり減ってしまうので注意が必要です。
バス法
歯と歯ぐきの境目には、
歯の面に対して45度の角度にし、毛先を歯と歯ぐきの間に入れて小刻みに振動させます。
●脇腹を使う方法(図52)
ローリング法
毛先を歯の根のほうに向け、歯と歯ぐきの境目に毛の脇腹を当て、歯の先端に向けて回転させます。
スティルマン改良法
ローリング法と同様のみがき方をしますが、毛の脇腹を当てる時に歯ぐきに当たる部分が大きくなり、回転を始める前に歯ぐきを圧迫振動してマッサージします。
ブラッシング時の注意事項
①みがき残しがないように順番にみがきましょう。
②1本、1本ていねいにみがきましょう。
③いちばん奥の歯と舌側(歯の裏側)は意識してみがきましょう。
④夜寝る前に時間をかけてみがきましょう。
⑤むし歯予防のために、フッ化物配合の歯みがき剤を使いましょう。
以上、一般的なことについて述べてきましたが、歯並び、噛み合わせ、歯ぐきの状態など口のなかは一人ひとり違います。「8020(80歳まで自分の歯が20本以上残っていること)」を達成するためにも、その人に合った「歯ブラシの選択」「ブラッシング法」があるので、かかりつけ歯科医で指導を受けるとともに、定期検診を受けることをすすめます。
米満 正美
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報