可部船入堀(読み)かべふないりぼり

日本歴史地名大系 「可部船入堀」の解説

可部船入堀
かべふないりぼり

[現在地名]安佐北区可部町可部

国鉄可部駅南側の公園の地に第二次世界大戦前まであった。根谷ねのたに川に続く帆待ほまち川の東端近くに約一反の溜池を掘り、可部―広島城下間の物資輸送に当たる船の発着場とされた。創設時期は不明であるが、正徳五年(一七一五)の可部町・両中野村絵図には、上中野かみなかの村の水主かこ町南に船入堀と水路などが描かれており、元禄四年(一六九一)船改には株船五〇艘に確定されている。

戦国時代の舟運は、三篠みささ川筋深川ふかわ太田おおた川筋の四日市よつかいち村が遡行の上限で、この両湊は年貢米積出港として繁栄した。しかし雲石路の開通に伴い、高田郡など、かつて三篠川を利用していた地域の年貢米を可部町まで陸送し、ここから津出しすることが一般化し、正徳三年には下深川にあった藩の米蔵が廃止された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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