君辱しめらるれば臣死す(読み)きみはずかしめらるればしんしす

精選版 日本国語大辞典 「君辱しめらるれば臣死す」の意味・読み・例文・類語

きみ【君】=辱(はずか)しめらるれば臣(しん)(し)す[=辱(はずか)しめを受(う)くる時(とき)は臣(しん)(し)す]

  1. ( 「国語‐越語下」の「臣聞之、為人臣者、君憂臣労、君辱臣死」から ) 主君が人から恥辱を受けたならば、その臣下たる者は、身命を投げ捨てても主君の恥をすすがなければならない。臣下は、主君と生死苦楽をともにすべきだとする中国戦国時代范蠡(はんれい)のことば。
    1. [初出の実例]「君(キミ)(ハヅカシメ)られ給ふ時は、臣死すといふ聖賢の教に恥ざるよしもあらん」(出典読本南総里見八犬伝(1814‐42)九)

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故事成語を知る辞典 「君辱しめらるれば臣死す」の解説

君辱めらるれば臣死す

臣下は、主君と生死や苦楽をともにすべきである、ということ。

[使用例] およそ君辱めらるれば臣死す、禄をむ者が、主を殺させて安閑と生きながらえることができると思われるか[田中貢太郎*八人みさきの話|1934]

[由来] 「国語えつ・下」に見える、はんれいという大臣のことば。紀元前五世紀の中国、春秋時代のこと。越という国の王、こうせんは、国との戦いに敗れて、いったんは捕虜となりました。やがて、釈放されて国に帰った勾践は、大臣の范蠡とともに政治に励んで力を蓄え、ついには呉を滅ぼすに至ります。ところが、范蠡は、「本来ならば『君辱めらるれば臣死す(主君が恥辱を受けたら、臣下は死ななければならない)』であり、王が捕虜となったときに死ぬべきだったところ、この日まで生き永らえてきたのです」と述べて、王のもとから姿を消してしまったということです。

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