含翠堂(読み)がんすいどう

山川 日本史小辞典 改訂新版 「含翠堂」の解説

含翠堂
がんすいどう

老松堂とも。1717年(享保2)摂津国平野郷市町(現,大阪市平野区)に設置された学塾。土橋友直発議で郷内有力者の協力を得て成立。平野郷近在住民の子弟を対象として,寄付金を基金利息と家賃収入で経営。飢饉に備えての備蓄基金も設けていた。講師には学派にこだわらず,三輪執斎(しっさい)・伊藤東涯・五井持軒(ごいじけん)・藤沢東畡(とうがい)・同南岳らが来講。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の含翠堂の言及

【郷学】より

…これは封建的危機が深刻化するにしたがって,その回避をはかるための領主の教化政策と密接に関係してくるようになり,民衆教化を意図する教諭所的性格を兼ねるにいたる。(3)は,従来(2)と混同して考えられていたが,1717年(享保2)に設立された摂津国平野郷含翠堂に典型的にみられる。この郷学は,農民的商品経済の早期に発達した地域で,それに伴う封建社会の矛盾の激化を感知した有志の富民層が中心となり,この事態に対処するために,知識的不平等におかれた民衆の啓蒙を意図して民間に発生した文化サークル運動から出発して,恒常的な学校設立の活動となったものである。…

【平野郷】より

…酒造も1697年(元禄10)造石株(ぞうこくかぶ)561石余があり,多くの商工業をもっていた。また上層民を中心に杭全神社連歌所にみられる文芸活動があり,1717年(享保2)には惣年寄土橋友直らが郷学の含翠堂(がんすいどう)を創立し儒学による教化運動を行った。明治期には綿作は衰退するが平野紡績などができ,大阪南郊の経済的中心となった。…

※「含翠堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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