日本古代の律令官制において,宮内省管轄の典薬寮に属した官人で,定員は2人。呪禁つまり〈まじない〉のことをつかさどったが,正八位上相当官である。呪禁は道教系統の方術とみられるが,呪禁師は呪文を唱え,一定の作法にしたがって悪気をはらい,病気や災難を除去した。そして767年(天平神護3)8月16日,大瑞と判定された瑞雲の出現によって〈神護景雲〉と改元された日に,関係のあった多くの官人たちとともに,呪禁師の末望足(すえのもちたり)が外従五位下を特授されて貴族官人の末席に列したケースがみえる。なお,典薬寮には,呪禁師とは別に呪禁を教える呪禁博士1人があり,従七位相当官であった。またこの呪禁博士に呪禁を学ぶ呪禁生(じゆごんしよう)6人が規定されていた。
執筆者:野村 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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