呼う・喚う(読み)よばう

精選版 日本国語大辞典 「呼う・喚う」の意味・読み・例文・類語

よば‐・う ‥ふ【呼う・喚う】

[1] 〘自ハ四〙 (動詞「よぶ(呼)」の未然形に、反復継続を表わす助動詞「ふ」の付いたもので、古くは連語) 呼び続ける。繰り返し叫ぶ。大声に叫び呼ぶ。
書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「反側(こいまろ)ひ呼(ヨハヒ)(おら)ひて頭脚(あとまくら)往還(かよ)ふ」
※竹取(9C末‐10C初)「なくなくよばひ給ふ事、千度ばかり申し給ふけにやあらん」
[2] 〘他ハ四〙
① (一)に同じ。
今昔(1120頃か)九「声を高く挙て妻を喚(よば)ふに、妻、更に不答ず」
② (婚・夜這) 言い寄る。求婚する。女のもとに忍んで通う。特に、夜、男が女の寝所に忍び入って情を通じる。
※霊異記(810‐824)中「高姓の人伉儷(ヨバ)ふに、猶辞(いな)びて年祀(とし)を経たり〈国会図書館本訓釈 伉儷 二合与波不二〉」
伊勢物語(10C前)一〇「をとこ、武蔵の国までまどひありきけり。さてその国に在る女をよばひけり」
[語誌](1)本来は一般的な「呼び続ける」という動作を表わしていたのが、特定の場面、とりわけ女性に対して男性が呼び続ける例が多用されるにつれて、(二)②の「求愛」「求婚」の意味が付与されたものか。
(2)「伊勢物語‐六」に「よばひわたる」の例があり、この頃には、継続を示す「わたる」との複合形があるところから、この意味がかなり一般化していたことがうかがわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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