勝手口(読み)かってぐち

日本大百科全書(ニッポニカ)「勝手口」の解説

勝手口
かってぐち

(1)住宅において、玄関とは別に設けられた台所の出入口表玄関の清潔さや厳しさを保持しようとすればするほど勝手の使用頻度は高くなる。ここからごみが搬出され、洗濯物が出し入れされる。御用聞きのほか、近隣の人たちの通用口として、あるいは子供たちの出入口としても利用される。設置する場合は、電気、ガス、水道などのメーターを近くに集め、出入口の上に大きな庇(ひさし)を取り付けたほうがよい。また、冷風の吹き込むのを防ぐため、上半分のガラス部分を別の扉(ダッチドア)とするなどのくふうが望まれる。

(2)茶室亭主の出入りする口。客が出入りする口(にじりぐち)に対する語で、茶道口、通い口ともいう。勝手口は水屋(みずや)(勝手)から点前座(てまえざ)へ進む入口であり、点前座から水屋へ戻る口であるから、点前座、もしくはそれに続く踏込畳(ふみこみだたみ)に設けられる。間取りによっては、給仕をするのに、茶碗(ちゃわん)を差し出すたいせつな場所を踏み越えなければ客座へ通れない場合があるが、このときは給仕口をあける。客人に急な用を告げたり、禿(かむろ)が出入りすることから、給仕口を禿口(かむろぐち)ともいう。あるいは勝手口と給仕口を別々にせず、二枚襖(ふすま)の口にして、一方をあければ茶道口、他方をあければ給仕口という手法をとることもある。形態としては、襖一本引きの方立口(ほうだてぐち)が一般的であるが、枠のない火灯(かとう)口とすることもある。運びのできる最小限の大きさということで、高さ5.1~5.2尺(1尺は約30.3センチメートル)、横2~2.1尺が標準である。

[中村 仁]

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精選版 日本国語大辞典「勝手口」の解説

かって‐ぐち【勝手口】

〘名〙
① 台所の出入り口
※俳諧・誹諧独吟集(1666)上「次第にくらくなる勝手口 月を待(まつ)座敷に雨は降(ふり)つのり」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「勝手口で、『梅本でござい』」
② 茶室で、亭主の出入りする口。客が出入りするにじり口に対していう。茶立口(ちゃたてぐち)。茶道口(さどうぐち)。給仕口。通口(かよいぐち)。禿口(かむろぐち)
※松屋会記‐久重茶会記・慶長一三年(1608)二月二五日「扨、炭斗持入て、給仕口より出て、床の丸つぼもも取入て、勝手口より持出て」

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デジタル大辞泉「勝手口」の解説

かって‐ぐち【勝手口】

台所の出入り口。また、外から台所に通じる出入り口。
茶室で、亭主が出入りする口。客が出入りする躙(にじ)り口に対していう。茶道口。

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