和台遺跡(読み)わだいいせき

日本歴史地名大系 「和台遺跡」の解説

和台遺跡
わだいいせき

[現在地名]飯野町明治 南和台・北和台

阿武あぶくま川中流に発達する河岸段丘は、信達しんたつ平野に葉脈状に展開しており、現在でも良好な畑地宅地となっている。遺跡はこの河岸段丘上に占地しており、標高は一九六メートル、遺跡の東側を阿武隈川の支流女神めがみ川が流れている。縄文時代前期から後期前葉と平安時代の複合遺跡で、主体は縄文中期の大集落跡である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「和台遺跡」の解説

わだいいせき【和台遺跡】


福島県福島市飯野町にある縄文時代中期の環状集落跡。中通り地方の北部に位置し、阿武隈(あぶくま)川に臨む標高約195mの舌状台地の先端部に立地する。多数の竪穴(たてあな)住居、掘立柱建物、埋甕(うめがめ)、土坑などの遺構が発見されている。1996年(平成8)、道路建設のための工事中、遺跡が確認された。縄文時代中期末葉に最盛期を迎えた集落で、中央の広場を中心にしてその外側に掘立柱建物、さらに、その外帯に住居群がめぐる構造になっている。竪穴住居が100棟以上発見されている。土坑の多くは貯蔵穴だが、中央広場に散見する土坑は墓の可能性があるといわれる。有名な人体土器(人体を表した飾りが付いた土器)のほか、狩猟文土器など数多くの土器、石器、骨角器、動植物遺体出土している。とくに、黒曜石翡翠、海洋性の魚骨類、関東地方・北陸地方・中部地方の影響を受けた土器などの出土から、広く遠隔地との交流が行われていたことがうかがえる。縄文時代の集落構造や生活、生業など、縄文社会を知るうえで重要であるとして、2006年(平成18)、国指定史跡となった。JR東北本線松川駅から車で約16分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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