改訂新版 世界大百科事典 「和賀岳」の意味・わかりやすい解説
和賀岳 (わがだけ)
秋田・岩手県境の中央部にある山。標高1440m。阿弥陀岳とも称する。奥羽山脈に含まれる真昼山地の一峰で,新第三系中新統の凝灰岩類からなる。和賀岳を中心にして北東~南西方向に標高1200~1400mの定高性山稜が連なり,和賀岳北東5kmのモッコ岳(1278m),南西3kmの薬師岳(1218m)などの峰がある。和賀岳はこの山稜の最高峰である。稜線の南東斜面は和賀川本流の上流部によって深く刻まれ,北西斜面には玉川の支流堀内(ほりない)沢がやはり深いV字谷をうがっている。このため山容は,山頂付近にやや平たんな緩斜面(奥羽山脈隆起以前に形成された浸食平たん面遺物の一部)を残すものの,その直下は直線状の急斜面となり,全体として壮年期山地の様相を呈する。標高の割りに急峻な山容のため登山の好対象であり,東麓の沢内盆地,西麓の横手盆地のいずれからも10kmほどの距離にある。
執筆者:中村 嘉男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報