唐詩品彙
とうしひんい
中国、唐詩の総集。90巻、拾遺10巻。明(みん)の高棅(こうへい)の編選。正集は1393年、拾遺は1398年に成立。収めた詩人数と作品数は正集が620人・5769首、拾遺が61人・954首。詩体別に編まれているが、詩体のなかを正始、正宗、大家、名家、羽翼、接武、正変、余響、旁流(ぼうりゅう)の九品に分かち、正始に初唐、正宗より羽翼までに盛唐、接武・正変に中唐、余響に晩唐の詩人を収め、旁流には無名・僧侶(そうりょ)・女流詩人などを収める。唐詩を初盛中晩の四期に分ける方法は、宋(そう)の厳羽の『滄浪詩話(そうろうしわ)』や元の楊士弘(ようしこう)の『唐音』の説を襲ったものだが、「詩は盛唐」を標榜(ひょうぼう)する古文辞派の文学主張に与えた影響は大きい。日本でも翻刻され流布した。
[和泉 新]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
唐詩品彙
とうしひんい
Tang-shi pin-hui
中国の唐詩選集。明の高へい (こうへい) の編。 90巻,拾遺 10巻。洪武 26 (1393) 年成立。拾遺は同 31年成立。五言古詩に始り,七言律詩にいたる詩を詩体別に分類し,各詩体のなかを正始,正宗,大家,名家,羽翼,接武,正変,余響,旁流の9目に分け,ほぼ初唐を正始,盛唐を正宗,大家,名家,羽翼,中唐を接武,晩唐を正変,余響にあて,僧侶,女流詩人などを旁流に収め,90巻には 620人,5769首,拾遺 10巻に 61人,950首を収録。文学のうえで唐代を初,盛,中,晩に分ける四変説は,ほぼ本書で定着し,その年代についても高へいの説が一つの標準となっている。なお高へいはその後本書からすぐれた作品 1010首を選んで『唐詩正声』を編纂した。
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世界大百科事典(旧版)内の唐詩品彙の言及
【唐詩選】より
…李夢陽(りぼうよう),何景明ら〈前七子〉と呼ばれる7人,李攀竜,王世貞ら〈後七子〉と呼ばれる7人,十数人の文人がその主唱者である。この書物は,〈古文辞〉運動とその流行に便乗して,何者かが詩を選録し,李攀竜の死後,その盛名を借りて出版したものであり,〈前・後七子〉に先行して盛唐詩を評価した明代初期の高棅(こうへい)の手に成る唐詩の選集《唐詩品彙(ひんい)》90巻がその種本となったことが現在では確認されている。詩形別に,五言古詩,七言古詩,五言律詩,五言排律,七言律詩,五言絶句,七言絶句という順序に配列され,作品は465首が収められ,作者では128人が選ばれている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」