唐賽児の乱(読み)とうさいじのらん(その他表記)Tang Sai-er; T`ang Sai-êrh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唐賽児の乱」の意味・わかりやすい解説

唐賽児の乱
とうさいじのらん
Tang Sai-er; T`ang Sai-êrh

中国,明初の永楽 18 (1420) 年に山東に起った農民反乱唐賽児はその中心的な女性指導者。彼女は山東済南府蒲台県の農民林三の妻であったが,若い頃から仏教に帰依し,夫の死後白蓮教的な諸術を身につけ,尼僧となってみずから仏母と称し,その信徒は数万に達した。その勢力の拡大を恐れた官憲は彼女を捕えようとしたため,ついに反乱を引起した。山東各地で信者,農民がこれに呼応して反乱に参加した。政府は安遠侯柳升を討伐に差向けたが,農民軍にかきまわされて苦戦し,都指揮衛青らの救援により,3ヵ月後にようやく鎮圧した。しかし唐賽児の行くえはわからず,永楽帝は法司に命じ,全国の尼僧,女道士を北京に集めて取調べさせたが,ついに彼女を捕えることはできなかった。清初の呂熊の『女仙外史』は,唐賽児の伝説に素材を取った小説である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐賽児の乱」の意味・わかりやすい解説

唐賽児の乱
とうさいじのらん

中国、明(みん)代の1420年、山東に起こった農民反乱。唐賽児はその中心となった婦人指導者。彼女は蒲台(ほだい)県(山東省)の農民林三の妻で、若いころから仏教を信じ、自ら仏母と称した。夫の死後、その墓参帰路、妖書(ようしょ)宝剣を手に入れ、また衣食、財物などを意のままにもたらし、未来を予言するなどの妖術をもって教えを広めたので数万の農民がこれに従った。明朝が彼女を逮捕させようとしたので、1420年ついに山東の益都(えきと)を中心に反乱を起こした。彼女は安遠侯柳升(りゅうしょう)に敗れ獄につながれたが、鎖が自然に解け、逃れ去ったともいわれ、結局、農民の間にかくまわれて行方不明のままとなった。

[谷口規矩雄]

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