唐車(読み)からぐるま

精選版 日本国語大辞典 「唐車」の意味・読み・例文・類語

から‐ぐるま【唐車】

〘名〙 牛車(ぎっしゃ)一種。箱を総体に大きく、屋形唐棟(からむね)に作り、唐びさしを出し、屋根檳榔(びろう)の葉で葺(ふ)き、廂、腰などにも檳榔の葉を総(ふさ)に垂らし、簾、下簾に至るまで美しく飾る。また、檳榔を染糸に代えることもある。糸毛(いとげ)の車とも呼んで、最も華美な様式とする。太上天皇皇后東宮准后親王または摂関などの晴れの時の乗用。からびさし。からびさしの車。からの車。からの御車
※枕(10C終)二七八「一の御車はから車なり」

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デジタル大辞泉 「唐車」の意味・読み・例文・類語

から‐ぐるま【唐車】

大型で、最も華美な様式の牛車ぎっしゃ唐破風からはふ造りの屋根をつけて檳榔びろうの葉でき、同じ葉をふさにしてひさし・腰などに垂らしたもの。檳榔を染め糸に代えることもある。太上天皇皇后東宮准后親王摂関などが晴れのときに用いた。唐庇からびさしの車。唐の車。

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世界大百科事典(旧版)内の唐車の言及

【車】より

…その種類は多く,殿上人・公卿らが通常用いる網代(あじろ)車は,竹やヒノキの網代で屋形を包んだものである。屋根を唐庇(からびさし)(寝殿造の広庇)につくった唐庇車(唐車ともいう)は最上の牛車で,上皇・皇后・東宮・親王や摂政・関白等がハレのときに用いた。その他,檳榔毛(びろうげ)車・青糸毛車・赤糸毛車等があり,人の貴賤,乗用の場合等に応じて用いた。…

※「唐車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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