商事会社民事会社(読み)しょうじかいしゃみんじかいしゃ

改訂新版 世界大百科事典 「商事会社民事会社」の意味・わかりやすい解説

商事会社・民事会社 (しょうじかいしゃみんじかいしゃ)

商事会社は,製造会社,サービス会社などと対比して貿易や国内の商品流通を業とする企業を指す言葉として使われることがあるが,民事会社と対比して使われるときは,法律上の概念として,商行為の営業を目的として設立された社団法人を指す(商法52条1項)。つまり,商法501条,502条に掲げられている行為を営利的,継続的に行うために共同事業者が設立した会社が商事会社であり,製造業,サービス業などを目的とする会社をも含むものである。これに対して,商行為以外の行為,たとえば農林業,漁業などを営利目的で行うために共同事業者が設立した会社が民事会社である。本来,商法が一般の社団法人とは別に会社を規制する目的は,その事業の商行為性にあった。というのは,個人(自然人)を生まれながら平等の法主体と認める近代市民法のもとでは,人の団体(社団)は国家が認めたものに限って法主体性(法人格)を与えられるが(民法33,34条参照),共同事業として商行為を行う場合だけは自由主義が妥当すべきものと考えられたからである。しかし,人の企業活動範囲は商行為に限られるものではないので,現在の商法は民事会社をも会社とみなしている(商法52条2項)。その結果,今日では商事会社と民事会社との間に法適用上の区別はまったくなく,1938年に制定された有限会社法は,概念的にも両者の区別をしていない。
会社
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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