善哉餅(読み)ゼンザイモチ

デジタル大辞泉 「善哉餅」の意味・読み・例文・類語

ぜんざい‐もち【善×哉餅】

善哉

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精選版 日本国語大辞典 「善哉餅」の意味・読み・例文・類語

ぜんざい‐もち【善哉餠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ぜんざい(善哉)[ 三 ]
    1. [初出の実例]「以前有煎茶之果。今者善哉餠也」(出典:鹿苑日録‐明応二年(1493)二月六日)
    2. 「大納言の小豆ににたる物なれば、せんさい餠は公郷(くきゃう)にてくへ」(出典:狂歌・後撰夷曲集(1672)九)
  3. 江戸習慣で、子どもが満一歳未満で立ち歩くようになった時、踏ませたり、背負わせたりする餠。切って親族に贈る。尻餠。立ったら餠。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「善哉餅」の意味・わかりやすい解説

善哉餅
ぜんざいもち

つぶし餡(あん)仕立ての汁粉(しるこ)に餅を入れたものを関西で善哉餅といい、略して善哉という。同じものを関東では田舎(いなか)汁粉という。また関東の汁粉を関西では漉し餡(こしあん)の善哉ともいう。善哉も汁粉も同類甘味だが、歴史的には善哉が古く、関西で室町中期ごろから食されていた。善哉のいわれについては、これを初めて食した一休禅師が、「善哉此汁(ぜんざいこのしる)」といったのに始まるとの説がある。善哉餅は大ざっぱにいえば関東の汁粉とも解されるが、奈良・興福寺の連歌師紹巴(じょうは)(1524―1602)の句に「もち雪の落ち来る道はしるこかな」があるので、関西でも汁粉と称したことが考えられる。

 汁粉は、漉し餡を水でゆるめたので称されたというのが一般的だが、善哉餅の場合も原型餡餅で、これを湯に溶いて汁状として食した。その際、汁の濃さを自在に調節したから自在餅とも解されている。『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』によると、「江戸にて今自在餅といふは餡を餅の上につけたれば、あんころ餅の大きなるなり」と説明されているので、汁粉や善哉のおこりは、餡餅の食し方の応用編と考えられる。善哉餅と似たものには、自在餅のほか神代(じんだい)餅、じんだ餅(ずんだ餅ともいう)などがある。いずれも餡餅である。善哉餅には、濃厚な漉し餡、つぶし餡に、切り餅、粟(あわ)餅、道明寺(どうみょうじ)餅、白玉餅、求肥(ぎゅうひ)餅、丸餅などを入れたもののほか、栗(くり)餡に蜜煮(みつだ)きの栗を入れた栗善哉などがある。

[沢 史生

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