善鸞(読み)ぜんらん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「善鸞」の意味・わかりやすい解説

善鸞
ぜんらん

生年不詳。没年諸説があってはっきりしない。鎌倉前期の僧。親鸞(しんらん)の子。母は恵信尼(えしんに)。号は慈信房(じしんぼう)。「大谷一流系図」には宮内卿公(くないきょうのきみ)と号したとみえる。親鸞が東国を去ったのち、門弟間に異義が生じた建長(けんちょう)(1249~1256)の初め東国に下ったが、かえって親鸞の実子という地位を盾に、親鸞の正意と称して、第十八願を「しぼめる花」に例えた異義を唱え、また幕府要路者に働きかけて念仏弾圧を工作し、門弟たちを混乱に陥れたため、1256年(康元1)親鸞に義絶された。義絶後は巫覡(ふげき)の徒となったという。

[石田瑞麿 2017年8月21日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「善鸞」の解説

善鸞 ぜんらん

?-? 鎌倉時代の僧。
親鸞(しんらん)の子。母(継母とも)は恵信尼(えしんに)。親鸞の代理として京都から関東に派遣され布教にあたるが,異義をとなえて教団を混乱させたため,建長8年(1256)親鸞より義絶される。没年には弘安(こうあん)9年(1286)70歳,正応(しょうおう)5年(1292)82歳などの諸説がある。号は慈信房。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「善鸞」の意味・わかりやすい解説

善鸞
ぜんらん

[生]?
[没]正応5(1292)?
鎌倉時代の僧。浄土真宗の開祖親鸞の子。房号は慈信。真宗の教義を東国に広めようとしたが,誤った教えを人に伝えたとして親鸞から義絶された。

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世界大百科事典(旧版)内の善鸞の言及

【秘事法門】より

…秘密裏に伝受するためこの称がある。親鸞の子善鸞が東国の真宗信者に対して,親鸞から夜中ひそかに真実の教えを伝受されたと称したことに発するといわれる。南北朝時代に越前の大町如道は不拝秘事を唱えてこれを秘事法門と呼び,北陸を中心に広く普及するにいたった。…

※「善鸞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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