中国の古代に用いられた暦。1年の長さが365日+1/4日であることから,四分法ともよばれた。19年に7個の閏月を挿入し(19×12+7=235朔望月),この基本周期の19年を1章とし,4章(76年)で閏月および月の大小が循環するようにした暦法である。1章という周期は,ギリシアでもメトン周期として知られていた。天文学的には月の交点,近点がそれぞれ18.599年,8.851年の周期であるから,19年の周期でほぼ元どおりに復帰する。日の干支は1紀=80章(1520年),年の干支は1元=3紀(4560年)で循環する。後漢の編訢(へんきん)と李梵が作った四分暦は85年から263年まで用いられた。先秦時代から前漢の太初改暦(前104)までの暦はやはり四分暦で,黄帝,顓頊(せんぎよく),夏,殷,周,魯の6暦があった。いずれも365日+1/4日を1回帰年とし,29日+499/940日を1朔望月として19年7閏の法を用いたが,上元と歳首は一定していなかった。
執筆者:橋本 敬造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…中国の暦法でその詳細が明らかな最初は前104年,漢の太初元年より施行された太初暦である。それ以前には四分暦(1年を365日と4分の1日とすることからこの名がある)が用いられていた。ヨーロッパのいわゆるカレンダーと異なり,中国の暦法は,単に月日を配当するというカレンダーの類の編纂(へんさん)技術ではなく,日,月,惑星の現象を数理的に取り扱うもので,暦法とは天文計算の数理,定数までも規定するものである。…
※「四分暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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