四国借款団(読み)しこくしゃっかんだん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「四国借款団」の意味・わかりやすい解説

四国借款団
しこくしゃっかんだん

1910年2月、清(しん)朝政府に対し鉄道建設などのために結成された借款団。中国に対する列強の金融支配の典型とされている。ドイツ・独華銀行、フランス・インドシナ銀行、イギリス・香港(ホンコン)上海(シャンハイ)銀行、アメリカ・モルガン商会などで構成された同借款団は、11年の幣制改革借款1000万ポンド、湖広鉄道借款600万ポンドなどを計画したが、そのほとんどが実現しなかった。それは、鉄道借款が清朝による鉄道国有化政策と結び付いていたため、四川(しせん)保路運動にみられるように、ブルジョアジーや民衆の激しい反対運動を呼び起こしたためであった。清朝にとって鉄道国有化は命取りとなり、辛亥(しんがい)革命が起きた。なお、20年にもイギリス、アメリカ、フランス、日本の四国銀行家による借款団が成立したが、これは新四国借款団とよばれる。このほか、1913年に袁世凱(えんせいがい)と結んで2500万ポンドに及ぶ「善後借款」を行った五国借款団(日、英、仏、独、露)も有名である。

[古厩忠夫]

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旺文社世界史事典 三訂版 「四国借款団」の解説

四国借款団
しこくしゃっかんだん

1910年に成立したイギリス・アメリカ・フランス・ドイツ4か国の銀行・財団による対中国国際借款団
1911年幣制改革のための借款や湖広鉄道借款を実施。後者は清朝の鉄道国有化問題とからんで民衆の不満をかい,四川 (しせん) で暴動が起きた。翌年,日本とロシアを加えて六国借款団に発展した。

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