改訂新版 世界大百科事典 「香港上海銀行」の意味・わかりやすい解説
香港上海銀行 (ホンコンシャンハイぎんこう)
The Hong Kong and Shanghai Banking Corp.
1865年(同治4),東アジア地域の交易に資するため,イギリスを中心とする有力な在華外国商社が香港において開業した銀行。中国名は匯豊銀行。香港,上海,横浜,シンガポールを中心に為替業務から出発したが,70年代以降清朝政府に対する借款も取り扱い,外国諸銀行の中で回数,総額ともに最大である。98年(光緒24)にはジャーディン・マセソン会社と共同して,鉄道投資を目的とする投資会社中英公司The British and Chinese Corporationを設立した。1911年の辛亥革命の後は,関税管理銀行の一つとなり,海関税の預託を受け,中華民国政府の財政に大きな影響力をもった。また,欧米各地にも支店網を広げつつ,ロンドン委員会を重要な機関としてシティと連係し,国際銀行としての地位を確立した。中華人民共和国成立後は香港を拠点に準中央銀行としての役割を果たし,80年10月には北京に代表部を設け,上海支店,広州貿易連絡処とともに中国との結びつきを深めつつある。子会社には商業銀行のマーカンタイル銀行(イギリス),マリーン・ミッドランド銀行(アメリカ),ミドル・イースト銀行(イギリス),恒生銀行(香港),ミッドランド銀行(イギリス)など,マーチャントバンクのウォードリー銀行などの企業を持つ国際企業集団香港上海銀行グループ(ロンドンに本社を置くHSBC・ホールディングズという持株会社の傘下にある)の中心である。
執筆者:浜下 武志
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