化学辞典 第2版 「四酸化三鉄」の解説
四酸化三鉄
シサンカサンテツ
triiron tetraoxide
Fe3O4(231.54).酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3を,水蒸気を含んだ水素で還元すると得られるが,天然には磁鉄鉱として存在する.付加物FeⅡO・FeⅢ2O3とみなされる.黒色の光沢をもつ結晶または粉末.密度5.16 g cm-3.融点1538 ℃.強磁性である.一種の半導体で,導電性がよい.空気中で強熱すると酸化鉄(Ⅲ)になる.水に不溶.酸に侵されにくいが,過剰の塩酸に溶けて塩化鉄(Ⅱ)と塩化鉄(Ⅲ)の混合物になる.いったん融解してから固めたものは頑強な不動態になるので,酸化鉄電極などに使われる.その他,磁性材料,黒色顔料,防せい塗料,アンモニア合成用触媒,研磨剤,黒皮などに用いられる.[CAS 1317-61-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報