プロトアクチニウム(読み)ぷろとあくちにうむ(英語表記)protactinium

翻訳|protactinium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロトアクチニウム」の意味・わかりやすい解説

プロトアクチニウム
ぷろとあくちにうむ
protactinium

アクチノイドに属する放射性元素の一つ。原子番号91、元素記号Pa。天然にはウラン・ラジウム系列およびアクチニウム系列中にごくわずかに存在し、1913年から1918年にかけて発見と確認が続けられ、α(アルファ)崩壊アクチニウムに変わることからプロトアクチニウムと命名された。アクチニウム系列中の質量数231同位体の約3万年を除くと、その後人工合成されたものも含め、いずれも半減期は短い。ウラン鉱物中に含まれるが、その化学的挙動は複雑である。単体灰色の金属で展性に富み、化合物では5価または4価の陽イオンとなることが多い。質量数233の同位体は、天然のトリウムから核燃料となるウラン233を得る際の重要な中間体となる。

[岩本振武]



プロトアクチニウム(データノート)
ぷろとあくちにうむでーたのーと

プロトアクチニウム
 元素記号 Pa
 原子番号 91
 原子量  231.03588
 融点   1840℃
 沸点   ―
 密度   15.37g/cm3(計算値)
 結晶系  正方

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロトアクチニウム」の意味・わかりやすい解説

プロトアクチニウム
protactinium

元素記号 Pa ,原子番号 91,原子量 231.03588。周期表3族,アクチノイド元素の1つ。質量数 231の長寿命の天然放射性同位体 (半減期3万 4300年) が 1917年 O.ハーンと L.マイトナーにより,またほとんど同時に F.ソディと J.クランストンにより独立に発見された。天然にはウラン鉱物中に質量数 234のウラン系核種と,質量数 231のアクチニウム系核種が存在するが,このほか 12種類の人工放射性核種の存在が知られている。トリウムを中性子照射して得られるプロトアクチニウム 233は,核燃料となりうるウラン 233の親核種で,非常に重要である。酸化数4,5で,化学的性質はタンタルに類似している。

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