日本大百科全書(ニッポニカ) 「団粒」の意味・わかりやすい解説
団粒
だんりゅう
aggregate
土壌の粒子が個々ばらばらでなく大小の塊(かたまり)をつくっている状態をいう。岩石や礫(れき)の破片からなる土壌物質を物理的に分けてみると、砂粒(粒径2ミリメートルから0.02ミリメートルの粒子)、シルト粒(0.02ミリメートルから0.002ミリメートル)、および粘土(0.002ミリメートル以下)になる。そのほかに2ミリメートル以上の礫片が混在する場合もある。しかしそれらの粒子がただ混じり合っているのではなく、一般に粘土粒子のもつ膠着(こうちゃく)作用によって集合体すなわち団粒をなしているのが普通である。耕地の表土に多くみられる径1ミリメートルないし0.5ミリメートルくらいの球状の集合体は、腐植コロイド粒子を含んでいるので膠着力が強く、安定した団粒をなし、乾燥時にも容易にはほぐれない。集合の形態には球形のほかにパン屑(くず)のような不定形の塊や、角張って比較的大塊をなすものもある。このような土粒の集合体の物理的状態を、土壌の構造という概念で論ずる。よく発達した団粒構造の土層は、粘土分の含有率が高いにもかかわらず団粒どうしの間に大きなすきまを有しているので透水性が高く、過剰の水分が排除される。一方、団粒内部の微細なすきまには適度の水分が保たれ、保水性のよい土壌となっている。また耕作の際に農具に土粒が粘着することが少ない。台地や丘陵を覆う火山灰土壌の腐植層は団粒構造の発達している例である。これに反し、砂礫質の土壌は集合体ができにくく保水性の悪い土壌となりやすい。
[浅海重夫]