図絵宝鑑(読み)とかいほうかん(その他表記)Tu-hui bao-jian

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「図絵宝鑑」の意味・わかりやすい解説

図絵宝鑑
とかいほうかん
Tu-hui bao-jian

中国,元の夏文彦 (かぶんげん) 撰の画家伝。5巻。「ずえほうかん」とも読む。至正 25 (1365) 年の自序がある。巻1は画論,巻2以下は三国の呉から元までと外国の画家伝。画論は『図画見聞誌』,劉道醇の『聖朝名画評』,湯こう (とうこう) の『画鑑』から引用したもの,画家伝は『宣和画譜』その他より引用。画家の検索には便利であるが,時代の先後,遺漏過誤の多いことが早くから指摘された。本書に加えた巻6は明の韓昂の続纂で,巻5末に補遺と続補を付している。室町時代以前に日本にも伝来,中国画家に対する知識を提供し,日本の画論にも影響を及ぼした。『宸翰楼叢書』『津逮秘書』『画史叢書』などに所収。

図絵宝鑑
ずえほうかん

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百科事典マイペディア 「図絵宝鑑」の意味・わかりやすい解説

図絵宝鑑【ずえほうかん】

中国,元代の夏文彦の作った画家伝。5巻。1365年の自序がある。巻1は古来の画論の節略,巻2以下は三国の呉から元に至る画家約1500人の略伝。室町時代に舶載されて中国画家に関する唯一の知識の源泉となり,江戸時代には翻刻されて日本人の画論にも影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内の図絵宝鑑の言及

【画論】より

…また蘇軾(そしよく)は文人として詩画一致を説き,米芾(べいふつ)は董源礼賛にみられるように,江南画を主張し,ともにきたるべき文人画の先駆けをなした。 元・明・清は,夏文彦《図絵宝鑑》,姜(きよう)紹書《無声詩史》,張庚《国朝画徴録》が編年体で画史を記す。この時代はおおむね文人画主流の時代であり,文人画論は,銭選の隷体論,倪瓚(げいさん)の逸筆草草論,何良俊の利家・行家論を経て,明末の莫是竜・董其昌の南北宗論に至り極まった。…

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