国際再生可能エネルギー機関(読み)コクサイサイセイカノウエネルギーキカン(英語表記)International Renewable Energy Agency

デジタル大辞泉 の解説

こくさい‐さいせいかのうエネルギーきかん〔‐サイセイカノウ‐キクワン〕【国際再生可能エネルギー機関】

アイ‐アール‐イー‐エヌ‐エー(IRENA)

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

国際再生可能エネルギー機関
こくさいさいせいかのうえねるぎーきかん
International Renewable Energy Agency

再生可能エネルギーの普及を目的とする国際機関。英語の頭文字をとってIRENA(アイリーナ)と略称する。2009年1月発足(正式な設立はIRENA憲章発効後の2011年4月)。再生可能エネルギーに特化した初の国際機関であり、IRENA憲章に基づき、太陽光、風力バイオマス地熱水力、海洋利用などの再生可能エネルギーに関する調査・分析、政策提言、技術・知識の途上国への移転、能力開発支援などに取り組んでいる。事務局をアブ・ダビアラブ首長国連邦)に設置し、ドイツのボンイノベーションテクノロジー・センター(IITC)を設ける。事務局長はイタリアで長く環境行政に携わったフランチェスコ・ラ・カメラFranncesco La Cameraで、任期4年。加盟国は日本、アメリカ、ドイツなどのヨーロッパ諸国、中国、インドロシアなどの新興国、産油国など160か国(2019年5月時点)。職員数は約180人(2018年11月時点)。最高意思決定機関は総会で、毎年開催し、事業計画や予算を決める。日本の分担金はアメリカに次ぐ2位で全体の約11%を占める(2018年時点)。

 再生可能エネルギー技術で先行するドイツが途上国市場の開拓をねらって設立を主導。世界のエネルギー問題を議論する国際エネルギー機関IEA)には先進国しか加盟できず途上国の意向が反映されにくいこともあって、中国、インド、アフリカ、中南米諸国が同調して設立準備が進んだ。日本は当初、活動内容が国際エネルギー機関(IEA)と重複するとしてオブザーバー参加であったが、オバマ政権にかわったアメリカが加盟を決めたことから、第2回会合から正式メンバーとして参加した。国際再生可能エネルギー機関は、パリ協定の目標達成には、世界の電源構成の約4分の1を占める再生可能エネルギー比率を2050年に86%へ引き上げる必要があり、実現のため蓄電池、電気自動車(EV)、水素燃料電池ブロックチェーン分散型台帳)、二酸化炭素の回収・地下貯留などの技術開発が必要と提言している。

[矢野 武 2019年9月17日]

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