日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際穀物協定」の意味・わかりやすい解説
国際穀物協定
こくさいこくもつきょうてい
International Grains Agreement
略称IGA。穀物の価格安定化を図るための国際商品協定。1949年に国際小麦協定(IWA)として成立し、その後3年ごとに更改されていたが、67年から約1年間の空白期間をおいて、68年に前年発効の国際穀物協定に引き継がれることになった。同協定はケネディ・ラウンドの一環として成立したものであり、開発途上国に対する食糧援助をもその内容として含んでいた。ところが、71年の更改交渉に際して、価格帯の設定をめぐる加盟諸国の対立から、価格安定化メカニズムなどを規定する経済条項を含まない国際小麦協定を成立せしめるに至り、実質的に骨抜きにされてしまう。この1971年の国際小麦協定は、加盟国間の小麦の安定供給を主要課題とする小麦貿易規約と開発途上国に対する食糧援助規約からなるもので、その後数次にわたり更改された。しかし、94年12月の国際小麦理事会(IWC)において、小麦貿易規約にかわる規約として、穀物全般を対象とする穀物貿易規約が採択されたことにより、95年ふたたび食糧援助規約とあわせた国際穀物協定が成立し、現在に至る。
この協定は穀物貿易についての国際協力の促進や情報交換を目的とするもので、その管理機構として国際穀物理事会International Grains Council(IGC)が設立された。1999年現在の加盟国は輸出国8か国およびヨーロッパ連合(EU)と、輸入国22か国で、本部はロンドンに置かれている。
[横川 新]