園冶(読み)えんや(英語表記)Yuán yě

精選版 日本国語大辞典 「園冶」の意味・読み・例文・類語

えん‐や ヱン‥【園冶】

[1] 〘名〙 庭としてかざったもの。庭園
小説神髄(1885)〈坪内逍遙〉上「所謂有形の美術絵画、嵌木、繍織(おりもの)銅器建築、園冶(ヱンヤ)等をいひ」
[2] 中国、明代、呉江の人、計無否による、中国最古の庭園書。

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改訂新版 世界大百科事典 「園冶」の意味・わかりやすい解説

園冶 (えんや)
Yuán yě

中国の代表的な造園理論書。明の1634年(崇禎7),計成の撰。全3巻。総論にあたる興造論,園説と,各論相地,立基,屋宇,装折,欄杆,門窓,墻垣,鋪地,掇山,選石,借景からなる。庭園は自然の風致主題を借りて人工的な造営によって自然の境地に到達することを主旨とし,庭園配置や建築意匠は従来の規格慣習にとらわれず,状況に応じて選択すべきという,文人造園家特有の自由な思想特色とする。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「園冶」の意味・わかりやすい解説

園冶
えんや
Yuan-ye; Yüan-yeh

中国の造園技術書。3巻。明末の計成の撰。崇禎7 (1634) 年刊本書は相地,立基,屋宇,装折,門窓,墻垣 (しょうえん) ,鋪地,てっ石,選石,借景の 10項目に分れ多くの図を挿入して説明しており,造園研究の重要な参考書といえる。計成は字は無否,江蘇省呉江県の人。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「園冶」の解説

『園冶』(えんや)

中国の造園術に関する書。明の計成の著。3巻。1634年にできた。初め『園牧』と称し,日本では『奪天工』(だつてんこう)といわれた。多くの図が挿入され,特色ある書物である。

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旺文社世界史事典 三訂版 「園冶」の解説

園冶
えんや

明の計成が著した造庭技術書
1634年ごろの作。3巻。相地・立基・屋宇・装折・門窓・墻垣・鋪地・掇山・選石・借景の10項目からなる。

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世界大百科事典(旧版)内の園冶の言及

【造園】より

…その意味で造園は,人間と自然の関係を物的な計画を通してとらえようとしてきた専門領域であるといえる。 造園という用語は,中国の明の時代に著された《園冶》にはじめて見られるが,日本では主として大正初期より使用されて今日に至っている。それまでは,作庭,造庭,築庭などといわれ,もっぱら庭園を対象としていた。…

※「園冶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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