土淵村(読み)つちぶちむら

日本歴史地名大系 「土淵村」の解説

土淵村
つちぶちむら

[現在地名]遠野市土渕町土渕つちぶちちようつちぶち

松崎まつざき村・五日市いつかいち村の東、駒木こまぎ村の南にあり、小烏瀬こがらせ川が北東から南西に貫流する。文治五年(一一八九)源頼朝が藤原氏を滅ぼしたのち阿曾沼広綱に遠野一二郷を与えたが(阿曾沼興廃記)、このうちの上六郷に含まれたと伝える。元土渕もとつちぶちの安倍屋敷は安倍一族の居館跡、その西方小烏瀬川支流の足洗あしあらい川対岸にある八幡沢はちまんざわ館跡は源義家の陣が置かれた場所と伝える(上閉伊郡志)。天正七年(一五七九)遠野孫次郎広郷が織田信長白鷹を届けた際(信長公記)、当村の山伏宗順房が使者にたったという(阿曾沼興廃記)

慶長一七年(一六一二)当村の高五一四石余を含む九六五石余に百姓面付小高を加えた一千石余が平清水平右衛門に宛行われた(「南部利直知行宛行状」阿曾沼興廃記)


土淵村
つちぶちむら

[現在地名]松山町土淵

松山城下の北にあり、東は出羽山地、西は藤里ふじさと川を境に引地ひきち村。墓地東側の山地や馬道うまみち付近から縄文後期の土器が出土。「大泉庄三権現縁記」永正三年(一五〇六)の記事に「土潤堀場ハ元来次孫次郎殿御分」とある。「土潤」は「土淵」のこととみられ、これ以前は来次孫次郎の所領であった。元和八年(一六二二)の酒井氏知行目録では高一八六石余。同一〇年の検地帳(土淵区有文書)に大肝煎与助とあり、名請人は虫食不明の分八反余を除き七三人。うち居村は四四人で、入作は山寺やまでら村七・田尻たじり村六・茗荷沢みようがさわ村四・中山なかやま村九・中棚なかたな村一・村名不明二の計二九人。


土淵村
つちぶちむら

[現在地名]山内村土渕つちぶち

横手山内郷の入口にあたり、東南に平野沢ひらのさわ村、西に大沢おおさわ(現横手市)が隣接する。あさひ(現横手川)の谷間沿いに皿木さらぎ茂竹しけたけ根子ねこ小田こだ下村したむら虫内沢むしないざわ板井沢いたいざわ岩瀬いわせ二瀬にぜ内淵ないぶち平石ひらいし(六郡郡邑記)の小集落が並び、これを結んで街道が走る。

正保四年(一六四七)の出羽一国絵図に二一二石とあり、宝永二年(一七〇五)の平鹿郡村々御黒印高帳(秋田県庁蔵)に当高二七七石一斗四升とあり、本田の免は六ツ、新田の免は六ツ、五ツ、四ツとある。新田高の合計は八四石余で、村高の約三〇パーセントを占める。灌漑用水は渓水に頼ったが、堤も多く、明和七年(一七七〇)には大小二四ヵ所の堤があった(「村々堤見分並日記」山内村郷土資料)


土淵村
つちぶちむら

[現在地名]盛岡市土渕つちぶち

東流する雫石しずくいし川の北岸に位置し、南端を秋田街道が通る。南は上栗谷川かみくりやがわ村。一説には当村と平賀ひらか新田は一村をなしていたが、元禄年間(一六八八―一七〇四)に分村したという(管轄地誌)。天和二年(一六八二)の惣御代官所中高村付に村名がみえ、蔵入高四二一石余、七ヵ年平均の免は三ツ五分七厘八毛。元禄十郡郷帳では西の岩手郡大沢おおさわ(現滝沢村)に入るとある。「邦内郷村志」では蔵分八八一石余・給分一八石余、馬一四四。享和三年(一八〇三)の仮名付帳では家数六四、うち枝村は北野きたの五・谷地上やちかみ六・万徳まんとく二・谷地道やちみち四・四ッ家よっや一・畳田たたみた五・中土淵なかつちぶち一三・平賀二四・高柳たかやなぎ四とあり、平賀は平賀新田のことと考えられる。


土淵村
ひじうちむら

[現在地名]豊岡市土渕ひじうち

気多けた郡に属し、加陽かや村の南、円山まるやま川東岸に位置する。江戸時代の領主の変遷は清冷寺しようれんじ村に同じ。慶長一八年(一六一三)の小出吉英所領目録(金井文書)に「比地淵村」とみえ、高三〇二石余。正保(一六四四―四八)頃成立の国絵図には「土渕」とあり、高三二二石余。宝暦七年(一七五七)の但馬国高一紙では高三九八石余。出石封内明細帳でも高三九八石余(拝領高三〇二石余・改出高九六石余)、内訳は屋敷高四石七斗余・麻畑高一一石七斗余・田高一八三石余・畑高一九八石余、ほかに古新田高(二筆)計一二九石余がある。


土淵村
どぶちむら

[現在地名]村松町土淵

早出はいで川が平野部へ流れる谷口の右岸に位置し、対岸の南には水戸野みどの村、南は松野まつの村。村は、北西の福連寺ふくれんじ山にある福連寺山城の根古屋集落であったとみられる。正保国絵図に高三七石余、村上藩領。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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