東北地方の日本海側に南北に断続して分布する山地・丘陵地の総称。出羽丘陵とも呼ばれる。青森,秋田,山形の3県にまたがり,日本海に注ぐ4本の河川によって分けられた五つの地塊山地からなる。すなわち,北から津軽山地,白神山地,太平山地,笹森丘陵,丁岳(ひのとだけ)山地の5地塊で,それらの間に岩木川,米代川,雄物川,子吉(こよし)川の4河川がそれぞれ先行谷として山地・丘陵地を横断しながら北西ないし西へ向かって流下している。
地質・地形の概略は,主として新第三系中新統~鮮新統の凝灰岩,砂岩,ケツ岩などからなり,一部に太平山(1170m),白神岳(1232m)などの花コウ岩の山地と,第四紀に形成された岩木山(1625m),鳥海山(2236m)などの火山群を含む。深い谷によって刻まれてはいるが,山頂付近の稜線にほぼ1000~1400mの定高性が認められ,小規模ながら浸食平たん面を残すことなど,奥羽山脈との共通点が多い。しかし,奥羽山脈が明瞭な断層運動を伴う地塁山地として形成されたところが大部分で南北に連なり,東北地方の脊梁をなすのに対し,出羽山地は曲隆運動の結果高まって形成された地塊山地群であり,各地塊ごとにほぼ東西方向に主稜線を走らせている点に大きな違いがみられる。このため,奥羽山脈と異なり,出羽山地は東西交通の大きな妨げとはならず,日本海沿岸と内陸地方との交流は古くから盛んであった。
また,内陸地方を含め日本海側気候に属する深雪地帯で,年間を通じて降水量が多く,森林がよく茂り,杉,ヒバなどの美林がみられる林業地帯となっている。ブナなどの落葉広葉樹も多く,クマ,カモシカなども生息し,古くはまたぎによる狩猟が盛んな地域でもあった。
執筆者:中村 嘉男
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青森、秋田、山形の3県にまたがり、東北地方の西側を南北に走る山地。岩木川、米代(よねしろ)川、雄物(おもの)川、最上(もがみ)川の諸川によって切断され、北から白神山地(しらかみさんち)、太平山地(たいへいさんち)、笹森丘陵(ささもりきゅうりょう)、丁岳山地(ひのとだけさんち)に分けられる。山地はおもに第三紀の凝灰岩、砂岩、泥板岩から構成されている。また鳥海火山帯(ちょうかいかざんたい)を伴い、北部にコニーデ型の岩木山(1625メートル)、南部にアスピーテ型の鳥海山(2236メートル)がそびえ、前者は津軽国定公園、後者は鳥海国定公園に含まれる。
[横山 弘]
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