在原元方(読み)ありわらのもとかた

改訂新版 世界大百科事典 「在原元方」の意味・わかりやすい解説

在原元方 (ありわらのもとかた)

平安前期の歌人生没年不詳。寛平から天暦初年にかけて活動。在原棟梁(むねやな)の子。業平の孫。官は六位。《古今集》に14首,《後撰集》に8首,以後の勅撰集に計8首入集。《古今集》巻頭に〈ふる年に春立ちける日よめる 年の内に春は来にけり一年を去年やいはむ今年とやいはむ〉があり,北村季吟は《八代集抄》で〈当集の巻頭面目比類なき事也〉と評した。しかし,正岡子規は《うたよみに与ふる書》で〈呆れ返つた無趣味の歌〉と論難している。
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朝日日本歴史人物事典 「在原元方」の解説

在原元方

生年:生没年不詳
平安時代の歌人。在原業平の孫で棟梁の子。大納言藤原国経猶子になったとも伝えられるが,その経歴はさだかでない。寛平御時后宮歌合など宇多・醍醐朝の歌合にしばしば出詠し,『古今集』には12首もの作が入集していることなどから,歌人としての活躍ぶりがうかがわれる。理知的な着想による斬新な表現に特徴があり,なかでも,年内立春という歳時と暦日のずれをとりあげて主題化した「年のうちに春は来にけりひととせを去年とや言はん今年とや言はん」の作は,『古今集』全巻の巻頭を飾る一首として有名である。勅撰集には計33首が入集。家集の『在原元方集』は断簡のみが現存する。

(山本登朗)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「在原元方」の解説

在原元方 ありはらの-もとかた

?-? 平安時代中期の歌人。
在原棟梁(むねはり)の子。藤原国経(くにつね)の養子。中古三十六歌仙のひとり。「古今和歌集」の巻頭歌「年のうちに春は来にけり一年(ひととせ)を去年(こぞ)とやいはむ今年とやいはむ」の作者として知られ,勅撰集に33首がのる。一説に仁和(にんな)4年(888)生まれ,天暦(てんりゃく)7年(953)66歳で死去。

在原元方 ありわらの-もとかた

ありはらの-もとかた

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