日本大百科全書(ニッポニカ) 「地上より永遠に」の意味・わかりやすい解説
地上より永遠に
ここよりとわに
From Here to Eternity
アメリカの作家ジェームズ・ジョーンズの小説。1951年刊。日本軍の真珠湾攻撃前夜、ハワイ駐屯部隊の醜悪な内幕を自然主義的手法で描く。天才的らっぱ手でボクサーあがりのプルーイットは、かつて過失から友人を失明させた体験を悔い、ボクシング大会出場を拒否したため、勤務の楽な中隊から別の中隊に移される。この隊で、戦友をリンチ殺害した上官を刺殺、自らも負傷して脱走、娼婦(しょうふ)ロリーンの部屋にかくまわれる。やがて日本軍の空襲が始まる。プルーイットは指名手配下の身を冒して中隊に復帰しようと飛び出すが、途中で警備中の憲兵に射殺される。1953年フレッド・ジンネマン監督により映画化され、アカデミー作品賞などを受賞。
[寺門泰彦]
『山谷三郎・鈴木重吉訳『地上より永遠に』全3巻(1954~56・筑摩書房)』