地図のひずみ(読み)ちずのひずみ(英語表記)distortion in map

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地図のひずみ」の意味・わかりやすい解説

地図のひずみ
ちずのひずみ
distortion in map

地図上に描かれた図形の形状に伴うひずみ総称。ひずみの原因は,根本的には曲面である地球面を平面に表わすうえで必然的に伴う伸縮に基づく (このひずみを特に地図投影のひずみということがある) 。さらに,地図の縮尺に基づいて微小化する図形を目立たせるために誇張したり記号化したりすることによる位置のずれ (転位という) ,測量・編集・複製のための製図と印刷の過程におけるずれ,印刷される支持体 (紙) の伸縮によるずれ,といった地図化におけるひずみがある。地図投影のひずみは究極的には地点ごとの縮尺が位置とその方向によって変化することで示され,地図投影の性質は,距離の縮尺の変化率 (距離のひずみ) ,面積の縮尺の変化率 (面積のひずみ) ,方向の誤差 (角のひずみ) に要約して表わされる。これら3つのひずみのうち,面積のひずみ,特定方向の距離または狭い範囲での角のひずみをなくすようにした地図投影法を,それぞれ正積図法,正距図法または正角図法という。地図のひずみが等しい地点を連ねた曲線は地図投影法ごとに固有の形状となっており,等ひずみ線という。円筒図法円錐図法および方位図法では,正軸の場合に等ひずみ線と緯線が一致する。特に方位図法では地図主点でのひずみがない。

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