塩化ベンゼンジアゾニウム(読み)えんかべんぜんじあぞにうむ(その他表記)benzenediazonium chloride

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

塩化ベンゼンジアゾニウム
えんかべんぜんじあぞにうむ
benzenediazonium chloride

芳香族ジアゾニウムの一つ。アニリンの塩酸溶液を冷やしながらそこに亜硝酸ナトリウムを加える(ジアゾ化反応)と水溶液として得られる無色の結晶。

 結晶を乾燥、加熱すると爆発するので、融点測定はできない。一般的に、合成した塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液は、そのまま次の反応に用いられる。きわめて不安定な化合物で窒素を放出して反応しやすい。ジアゾ基-N2+は種々の官能基置換されやすく、よく利用される。たとえば、酸性水溶液を加熱するとヒドロキシ基-OHで置換されフェノールが得られる。そのほか、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基-CNなどで置換可能である。弱アルカリ性でフェノールと反応させるとパラ・オルト-オキシアゾベンゼンが得られる(ジアゾカップリング反応)。芳香族アミンとも同様の反応を行う。ジアゾ染料の中間体として重要である。

[谷利陸平]


塩化ベンゼンジアゾニウム(データノート)
えんかべんぜんじあぞにうむでーたのーと

塩化ベンゼンジアゾニウム

 分子式 C6H5ClN2
 分子量 140.57
 融点  ―
 沸点  ―
………………………………………

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 の解説

塩化ベンゼンジアゾニウム
エンカベンゼンジアゾニウム
benzenediazonium chloride

C6H5ClN2(140.57).C6H5N2Cl.アニリンの塩酸溶液に亜硝酸ナトリウム水溶液を加えてジアゾ化すれば溶液として得られる.空気中の湿気で分解し不安定で爆発しやすいので,普通は水溶液のまま,カップリング反応ザントマイヤー反応など,一般の芳香族ジアゾ化合物の反応に使用する.[CAS 100-34-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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