六訂版 家庭医学大全科 の解説
増加傾向にある潰瘍性大腸炎
(食道・胃・腸の病気)
潰瘍性大腸炎は欧米に多く日本人にはまれな疾患と考えられていましたが、近年、厚生労働省の登録患者数は年間約5000人ずつ増加しており、2007年には9万6000人となりました。これはライフスタイルの欧米化に関係しているといわれています。
潰瘍性大腸炎は、20~30歳前後の若年成人に多く発症し、10代の小児にもみられます。若年で発症するため、発症後に就職、妊娠、出産などの時期を迎えることも多くなります。
妊娠、出産についても、緩解期であれば健康な人と変わらないとされています。また海外では、サラゾピリンやペンタサ、プレドニゾロンの投与は妊娠や出産にとくに問題ないとされていますが、事前に主治医とよく相談するのがよいでしょう。
白血球除去療法は、主に重症の潰瘍性大腸炎でステロイド治療によっても十分な効果のない場合などに適応となります。これは日本で開発された治療法で、血液をフィルターに通し、炎症のもととなる白血球を取り除いてから体内にもどすものです。通常、1回1時間の治療を週1回、5回連続して行います。副作用が少ないことが特徴で、広く行われています。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報