壺中の天(読み)こちゅうのてん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「壺中の天」の意味・わかりやすい解説

壺中の天
こちゅうのてん

俗世間とは異なった別天地、別世界のこと。「壺(つぼ)の中の世界」の意で、転じて、酒を飲んでこの世の憂さを忘れる楽しみをいう。

 中国、後漢(ごかん)の費長房(ひちょうぼう)がかつて市の役人をしていたとき、薬売りの老人が店をしまうと、店先に掛けておいた壺の中に跳び入るのを、だれ1人気づかなかったが、費長房ははるかに楼上からこれを見、老人に頼み込んで壺の中に入れてもらったところ、中にはりっぱな建物が建ち並び、美酒佳肴(かこう)がいっぱいあり、費長房は、老人とともに歓を尽くしたと伝える、『後漢書(ごかんじょ)』「方術伝」の故事による。

[田所義行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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