食の医学館 「夏ミカン」の解説
なつみかん【夏ミカン】
《栄養と働き&調理のポイント》
柑橘類(かんきつるい)ではもっとも果実の大きいグループに属し、ザボンやハッサク、伊予カンの仲間です。江戸時代に現在の山口県長門市で、ブンタンの自然雑種として生えたのが最初とされていますが、近年は大分県原産の酸度が低い「甘夏」が主流を占めています。
○栄養成分としての働き
夏ミカンもほかの柑橘類同様、ビタミンCが豊富で、中くらいの大きさのもの半分で1日の必要量の2分の1を満たします。
しかし夏ミカンの特徴は、すっぱさのもとであるクエン酸が豊富に含まれている点で、温州(うんしゅう)ミカンの約2倍にもなります。クエン酸はエネルギーをつくりだし、老廃物を体内に残さないようにする成分で、疲労回復の働きがあります。また、夏ミカンにはエネルギー源の糖質を分解するビタミンB1も含まれるので、疲労回復により効果を発揮するわけです。
○漢方的な働き
皮を陰干しにしたものを漢方で夏皮(なつかわ)と呼び、飲用すれば健胃に、お風呂に入れれば肩こり、腰痛、リウマチ、神経痛に効きます。また、皮で手足や顔をふくと、皮膚がスベスベになります。
選ぶときは重量感があり、ヘタのついているものを。なお、ヘタが緑色のほうが新鮮です。