外記政(読み)げきせい

改訂新版 世界大百科事典 「外記政」の意味・わかりやすい解説

外記政 (げきせい)

宮中政務の一つ。外記の庁に大臣以下の公卿が参集し,諸司の申文をみる儀。毎月5日の休日(6,12,18,24,晦日)を除き毎日行う。儀式の次第等は《西宮記》《北山抄》《江家次第》に詳記されている。897年(寛平9)宇多天皇譲位に当たり藤原時平と菅原道真の両名を内覧とし,奏宣事項の指示をゆだねたため,公卿らが外記政に出席しなくなり,政務に停滞が生じたとか,901年(延喜1)に公卿や外記が病などで不参のため,10日間も外記政が行われなかったこともあるが,古来この例なしと記されているごとく,これら特殊な例を除くと,平安初期には主要な政務の一つであった。しかし《類聚符宣抄》のひく安和2年(969)2月2日の宣に,〈廃務休日のほか,何ぞ外記政無からん〉と述べ,ひと月に3,4日,多くとも7,8日しか行われないため,外記政の励行を命じている例からみると,外記政がしだいに行われなくなるようすがうかがえる。なお,年始,改元,廃朝の後にはじめて行うものを外記政始(まつりごとはじめ)といった。
結政(かたなし)
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「外記政」の解説

外記政
げきせい

公卿が聴政与奪(処理)する「政」の一形式。朝堂儀の尋常政が内裏に最も近い外記庁に展開したもので,公卿の内裏伺候化にともない9世紀半ばには定着。式日は官政の4・7・10月の1日を除く毎月1・4・16日であるが,休日と廃務日を除いて毎日行うべきものとされていた。式次第は官政と同様,結政所(かたなしどころ)での結政をへて公卿・上官などが庁座に着座し,弁・史が諸司の申文を読みあげ,上卿(しょうけい)が決裁した(庁申文の儀)。次に請印の儀,侍従所での南所申文(なんしょのもうしぶみ),食事の儀があり,参内,着陣と続く。

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