日本古代律令官制の官職の一つ。太政官に大外記2人,少外記2人が所属する。和訓は〈とのおおい(すない)しるすつかさ〉。太政官は,(1)左右大臣・大納言(のち中納言・参議が加わる)からなる議政官組織(公卿(くぎよう)),(2)議政官組織の下部機構で少納言と外記からなる少納言局,(3)諸官司に対する統轄機関で弁と史からなる左右の弁官局によって構成されるが,外記は少納言の下僚として,内記(ないき)(中務省所属)の作成する詔書の勘正,奏文の勘造などのほか,宮廷および太政官内の恒例・臨時の儀式・諸行事に従事するのを職掌とした。はじめその相当位は,大外記が正七位上,少外記が従七位上であったが,8世紀末にそれぞれ正六位上,正七位上となる。平安時代には少納言局の実務は外記に移り,外記局・左弁官局・右弁官局のいわゆる太政官3局を構成するにいたり,五位の外記も出現する。外記の上首を局務(きよくむ)という。平安時代の半ば以降,大外記は清原氏・中原氏の2氏が世襲した。
執筆者:早川 庄八
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令(りょう)制官職の一つ。太政官(だいじょうかん)に置かれ、大(だい)外記2人と少(しょう)外記2人からなる。太政官の少納言(しょうなごん)の下に属し、太政官の主典(さかん)にあたる。養老職員令(ようろうしきいんりょう)によると、その職掌は、主典としての通掌のほかに、詔書の後半部の起草や太政官奏(そう)の起草であった。官位相当は大外記が正七位上、少外記が従(じゅ)七位上であったが、783年(延暦2)職務繁忙などを理由に、大外記を正六位上、少外記を正七位上に昇格させた。五位に上ったものを大夫(たいふ)外記という。外記はしだいに少納言局の実務を掌握し、外記の上首は局務(きょくむ)と称されたが、平安時代中期からは清原(のち舟橋)・中原(のち押小路(おしのこうじ))両家に世襲されることとなった。1187年(文治3)に、外記は6人を定員とすることが定められた(『玉葉』)。
[柳雄太郎]
少納言のもとで太政官書記局として,詔書・論奏・奏事や太政官符の作成を担当する令制官司。大外記2人・少外記2人。815年(弘仁6)からは内裏の記録も内記とともに担当。正七位上・従七位上だった官位相当も,783年(延暦2)に職務繁多を理由に大・少内記と同じ正六位上・正七位上に昇格。さらに五位にのぼる大外記も現れて,大夫外記とよばれた。のちに外記の上首は清原氏・中原氏の世襲となり,局務(きょくむ)と称された。
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…つまり,宣旨は,結果として上司の宣を配下が奉って第三者に伝える構造をとるのである。 宣旨の種類は,奈良時代には多種多様であるが,平安時代にみられるのは,天皇の口勅を蔵人が奉り上卿に伝える口宣(くぜん)(ただし,11世紀末には宣旨と異なる様式となる),内侍の伝宣を検非違使庁官人が奉る内侍宣,使別当の宣を使庁官人が奉る検非違使別当宣,上卿の宣を外記(げき)が奉る上卿宣旨(外記宣旨),上卿宣を弁官が伝宣し史が奉る弁官宣旨等である。このうち,外記宣旨と弁官宣旨は,太政官から出される宣旨で,とくに重要である。…
…これは,律令制以前に存在した畿内出身の有力豪族の長による国政合議の体制を継承したものであって,8世紀前半には旧豪族の拠点として天皇の権力を掣肘(せいちゆう)する機能を保持していたが,8世紀半ば以降そうした機能は失われ,しだいに天皇に従属するものとなった。だが,その国政審議の府としての権能はながく継承され,平安時代に陣定(じんのさだめ)と称された公卿の会議では各種の政務が審議されたし,また少納言局や弁官局が行う外記政・官政などの政務には,中納言以上の公卿が上卿(しようけい)として出席し,指揮するのが例となっており,こうしたことは摂関政治や院政の時代でも変わることはなかった。しかし鎌倉時代を経て武家政治の時代となり,公家(くげ)の権力そのものがおとろえると,そうした政務も実を失い,形式化し儀式化した。…
※「外記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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