多極化(読み)たきょくか(英語表記)multipolarization

日本大百科全書(ニッポニカ)「多極化」の解説

多極化
たきょくか
multipolarization

1960年代から1980年代にかけての国際政治の構造的特徴を表す政治用語。第二次世界大戦直後の国際政治は、米ソ(アメリカとソ連)両大国をそれぞれの極poleとする東西二陣営に分かれて対立し、二極化bipolarizationの時代といわれた。しかし戦後15年を過ぎるころから、米ソの二極支配を不満とするフランス、中国台頭、第三の道を歩むインド、旧ユーゴスラビアなど非同盟諸国の比重の増大により、国際政治にも大きな変化がみられるようになった。とくに一枚岩とみられていた社会主義陣営でも、ソ連の一元的支配に反発する中国の台頭、あるいはユーロコミュニズムEurocommunismといわれた西ヨーロッパ各国共産党の登場によって、社会主義実現への多元主義polycentrismが世界的に承認される一方、資本主義陣営内でもヨーロッパ共同体EC、現ヨーロッパ連合=EU)、日本の経済力の増大に伴う発言力の強化によって、それまでのアメリカ中心の経済体制が崩れた。こうした西側陣営内の米・欧・日による三極化への移行といった現象を総称して多極化とよんだ。

[藤村瞬一]

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知恵蔵「多極化」の解説

多極化

超大国以外のいくつもの国が世界に影響の及ぶ争点に関して主導性を発揮し、重要な決定に参加、秩序形成・維持を担う傾向と、それに伴う世界秩序再編成の過程。1960年代以降、二極システムが崩れる政治変動が始まり、70年代以降には米ソの経済能力が相対的に低下し、特に91年のソ連解体以降、二極システムは決定的に崩壊した。90年代の世界は多極化の様相が強まり、米・欧・日の三極システムなどと呼ばれることがあった。反対に2000年前半には、唯一の超大国となった米国の単独行動主義が顕著になり、米国による一極支配の様相が強まった。ただし2000年代後半に入ると、BRICsの台頭、米欧間の距離の広がりなどから、再度、多極化の様相が強まっている。まだ新しい国際システムは明確になっていない。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

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デジタル大辞泉「多極化」の解説

たきょく‐か〔‐クワ〕【多極化】

[名](スル)一つにまとまっていた勢力が、分散して互いに対立・拮抗きっこうし合うようになること。
[補説]特に、20世紀末から21世紀初頭にかけての国際政治の潮流についていう。1960年代以降、米ソ両大国における二極支配に反発する欧州やアジア諸国が発言力を強め、1991年にはソ連が解体して二極支配が崩壊。唯一の超大国米国を中心とする一極支配の時代になったが、中ロ二国の経済的躍進新興国の台頭に加え、米国経済の衰退もあって、2000年代後半には多くの国がそれぞれの主張のもとに国際政治に関わるようになった。

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旺文社世界史事典 三訂版「多極化」の解説

多極化
たきょくか

米ソを中心とする東西二極対立構造がゆらいだ,1960年代後半以降の国際政治情勢
日本やヨーロッパ共同体(EC)諸国が急激に経済成長を遂げ,中国が独自の外交政策をとり,核保有国が増加したことなどにより,米ソの支配力を相対的に低下させた。

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